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夢とも現実とも知れない冒険物語『夢幻のマダラメイア』の感想

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 オーングロリアム治安維持騎士団の節兌見一によるゲームマーケット2018秋の新作ゲームブック『夢幻のマダラメイア』を遊びました。
 めっちゃ良かったので何これ最高! というテンションのまま感想を書きます。

概要

 ゲームブックです。
 パラグラフ数は203。
 本体の他、ダイスと筆記用具が必要になります。
 裏表紙にあったあらすじは、こんな感じです。

冒険者である君はある日、相棒のロヴァルト=フェイクに奇妙な冒険へと誘われる。曰く、交易都市ローランダルクを一夜にして滅ぼした神『マダラメイア』への巡礼を成し遂げられれば如何なる願いも叶えてもらえるのだとか。同じく願いを求める巡礼者たちの妨害や亡都ローランダルクを渦巻く陰謀を潜り抜けた先、荒れ狂う炎の中心で待ち受けているものとは……?

 詳細不明ですが『冒険のドラクロイツ』という過去作もあって、舞台設定を共有しているらしいですが、そちらは未読です。

雰囲気が良い!

 とにもかくにも、良かったところを紹介させてください。
 まずは、雰囲気! これでしょう。
 とにかく全体的に謎めいていて、奇妙なテイストなのです。冒険者視点のストーリーなので、もちろん描写は地に足がついていると言うか、しっかりしてはいるのですが、かんじんの見ている対象が、砂漠の陽炎越しみたいな感じで、今ひとつ判然としないのですよね。
 もちろん読んでいる最中は、ぜんぜんそんなことを感じませんよ。
 でも、振り返ってみて全体のイメージがどんなだっただろうかを考えてみると、フレーズ的には、炎、幻、砂、瓦礫、荒野、夢……そんな感じなのです。
 いわゆる日本的な、しっとりと湿っぽい幻とは違いますね。もっと乾燥しています。からっからに乾いて、うだるような暑さを抱えた朦朧とした幻です
 うーん、伝わりますかねー……?

ストーリーが良い!

 まあ、雰囲気は置いておきましょう。これは、読んだひとしか分からない感触なので。
 次に挙げたいのはストーリーです。
 いやあ、良かったですねえ。
 ただの冒険譚かと思いきや、けっこう伝奇的な感じで、グッと来るんですよね
 ローランダルクが滅んだ経緯や、マダラメイアの正体が明かされるにつれ、物語の様相がどんどん変わっていって、物語に深味が増していきます。
 キャラクタもけっこう魅力的で、やっぱり相棒のロヴァルトですかね。主人公を冒険へと導く、彼の快活なセリフの数々は、ほんとうに良いです。
 お騒がせ冒険者のローゼンクランツやドラクロアも、好きですけどね。

システムが良い!

 いろいろ書きましたけれど、やっぱり、随一なのは、これでしょう。
 ネタバレになってしまいそうなので、はっきりと書くことは避けますけれど、パラグラフ78ですよ。ここに辿り着いた瞬間、もう、かんぜんに分かりました。それまでの謎めいた描写や、繰り返されてきた設定の説明が、すべてひとつの真実に収斂するのを感じました
 同時に物語の構造が、手に取るように分かり、総パラグラフ数200強の物語が、夢幻のちからによって1.5倍くらいにふくらむのを感じ……しびれました。


 プレイ時間は、どれくらいでしょうか。
 少しずつ読み進めたので分かりませんが、3時間くらいだと思います。
 ちゃんとダイスを振って戦闘処理しながら遊ぶと時間が掛かりますけれど、ある程度、時間を確保して、パラグラフ78まで一気に遊んでいただくのが良いかなあと思います。

ここは微妙だった……

 良いところばかりを紹介しましたけれど、微妙なところも少し。
 パラグラフを探すのがですね、ちょっと大変でしたね。商業のゲームブックですと、ヘッダー部分にページ数の代わりにパラグラフを記載してくれていますが、この作品はヘッダー・フッターに一切情報がないので、とにかく目当てのパラグラフを探すのに苦労しました。
 ゲームブックの宿命とは言え、ページをパラパラしている内に、ネタバレっぽいのを見てしまうのは、なるべく避けたいのですよね……。
 もうひとつはパラグラフ38以降。
 ここは、微妙と言うか、ゲーム的に緊張したところなのですが、マジで地獄でした。超ギリギリで初見突破できましたが、焦燥感が半端なく、遊び始めて最初に危機感を覚えたのが、ここのくだりだったかもしれません。

終わりに

 結論としては、超楽しいので、超オススメ! です
 前作『冒険のドラクロイツ』も気になるので、機会があれば入手して読みたいですね。