5月29日より公演の始まった座・シトラスさんの『斯くして我は独裁者に成れり On Stage』を観てきました。
クリエイティブAHCさんによるカードゲーム『斯くして我は独裁者に成れり』を、即興演劇化したもので、非常に挑戦的な公演でした。
概要
開催期間は5月29日から6月2日までの5日間、全10公演。
7人の役者さんが、それぞれの配役に応じて、世界観の中でキャラクタを演じながら、リアルタイムでゲームを行い、勝利を競いあうところを観劇します。
役者さん、劇団 座・シトラスの面々で、普段は『Vote Show』という人狼に似た投票ゲーム演劇を開催されているそうです。
秋山が観た回は、中世ヨーロッパの世界観でしたが、回によっては近未来SFの世界観もあるとのことです。
公演の流れ
舞台上で、それぞれのキャラクタになりきった役者さんが、演劇をしつつゲームに興じるわけですが、原作『斯くして我は独裁者に成れり』とは少し異なります。
一部ルールが削られたり、代わりに2~3人で個別に会話できる密談パートがあったり、舞台用にアレンジが加えられています。
一部演出においては、観客が実際に行動することで、物語の展開に影響を与えたりもして、観客参加型な要素もあります。
感想
恥ずかしながら、コンセプトを理解せずに観始めていました。てっきり、脚本がきちんと用意されていて、筋道立てられた演劇だと思っていたのです。
序盤から中盤に掛けて、役者さんがキャラクタを演じつつも、その場でゲームに勝つための方法と、それをいかに世界観と結びつけるかを考えながら、台詞を作り出しているのだと分かった瞬間、急にソワソワし始めました。
「ドモってしまったらどうするのかしら?」とか「矛盾したらどうするのかしら?」と不安を覚えているうちに、なんだか言っていることが変になってきたり、世界観に合わなくなってきて「え、いまの失言だったのでは?」と思っていると、他の役者さんが咄嗟にフォローするように会話をつなげて、しかも、それが笑いに繋がったりすると「上手いな!!」と感心しました。
つまり、この即興性を楽しむわけですね。
考えてみたら原作『斯くして我は独裁者に成れり』も、ゲーム開始当初は独裁者であり、革命家であり、民衆であり、あらゆる可能性を持っているけれど、ゲームが進むにつれ、どんどん可能性を切り捨てて行くことになり、結果、主張が変わることがありえます。そういう意味では、ゲームの持っていたドタバタ感や軽妙な議論が、うまいこと演劇作品に昇華されていると言えます。
回によって出演される役者さんも異なりますし、人が違えば、また展開は異なるものになるでしょう。毎回、まったく違う物語が紡がれることを考えれば、全10回公演の内、10回すべてを観に行っても楽しめます。
すごい世界ですね、これは。
今回は5日間開催で全10回公演ですが、是非、まだ第2弾、第3弾を開催していただきたいですね。役職を変えたり、舞台設定を変えれば、また雰囲気もガラリと変わりそうです。
秋山はキャストもスタッフも、最大限に緊張している初日初回公演が好きなので、これから先、ずっと続くかもしれない『斯くして我は独裁者に成れり On Stage』の幕開けに立ち会えたことは、非常に光栄だなと感じました。
一緒に観たぺこらさんのコメント
民衆が勝って良かったよ。民衆、好きだからね
民衆勝利エンドでは、観客である我々も民衆という設定だから、観ていただけなのに、ぼくらも勝ったことになったよね
民衆勝利という予想は、当てたよ。半分、当てた!
ぼくは勝利したキャストさんは当てられたけれど、革命家って書いちゃったよ
キャラクタは、実はよく分からなかったんだよね。結局、皆、どういう設定だったのか、ちょっとよく分からなかった。情報が、ぽんぽん出てくるしね
確かに、登場シーンに設定資料的なのが表示されたけれど、すぐに切り替わっちゃって、ゆっくり見られなかったね。劇中も、即興で進むから、設定が転々とするし
でも、その場を楽しむってことなのかな? 雰囲気を楽しむものだとしたら、ぜんぜん楽しかったよ!
そう。ぼくはそう捉えた。設定は、最初の取っ掛かりに過ぎず、一度、話が運びはじめたら、もう気にしなくていいのかも
途中から存在感が薄くなっちゃったひともいたね
即興力が求められるからねえ。でも、長く続けていくと、だんだん上手くなるだろうし、そういう成長を見るのはファンとしての喜びかもね。
終わりに
閉会後、健部さん、カナイさんとご飯に行ったのですが、セブンスキャッスルさんの人狼TLPTを教えていただきました。
WAR→Pは、何度も参加したことがありますが、人狼TLPTは一度も観たことがないので、タイミングが合えば観に行きたいですね。もちろん、座・シトラスさんの『Vote Show』も次の機会には行ってみたいです。