麻枝准脚本による2010年に放映されたアニメ『Angel Beats!』を見ました。
前々から気になっていた作品で、ようやく見ることができました。ネタバレありの感想となります。
作品の概要
Tacticsで『MOON.』『ONE~輝く季節へ~』に関わり、Keyでは『Kanon』『AIR』『CLANNAD』等に関わったシナリオライターの麻枝准による初のアニメ作品、それが『Angel Beats!』です。
主題歌の『My Soul, Your Beats!』は耳に残るメロディーラインで、ヒロインの立華かなでは「天使ちゃんマジ天使」と人気を博し、気にはなっていましたが、Key作品は『Kanon』だけ遊び、他は、今に至るまで食わず嫌いしてしまっており、結局、リアルタイムで追うことはしませんでした。プレイヤーを泣かせようという無理のある物語運びが、なんだか鼻についてしまったのです。
第2作『Charlotte』について
気になりつつも『Angel Beats!』を見なかった私の前に、2015年、麻枝准による第2作『Charlotte』が現れました。ものは試しと見始めましたが、最初はやや苦痛でした。
無気力無関心系の主人公が、パワフルなヒロインにドタバタ劇に巻き込まれていく部活物の亜種、そう感じました。
話が変わるのは、折り返しとなる第6話。
それまでの、のんきで薄い青春は一変します。そして、そこから先の展開は怒涛でした。終盤にかけて次々と起伏のある展開が続き、余韻のあるエンディングへと辿り着きます。
『Angel Beats!』の感想
そして、2020年。
『Angel Beats!』の再放送が始まり、今こそが機会だろうと毎週、楽しみに追うことにしました。
序盤の冗長さは覚悟していましたが、転換点は期せずして『Charlotte』と同じく第6話でした。
第5話以前にも仲村ゆりの凄惨な過去が明かされていましたが、直井文人の過去が明かされ、そして音無結弦によって救われたという展開で、この作品の在り方というか方向性が見えました。
その後、第7話における音無の過去や、第10話でのユイの消滅など、感動的なシーンが多く、何度も涙を誘われました。
しかし、終盤の展開には、やや首を傾げました。
正体不明のプログラムされた影は、まさしく物語を終わらせるために登場した機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)でしょう。
激しい敵対関係にあった仲村ゆりと立華かなでは信じられないスピードで仲直りし、死んだ世界戦線の大半のメンバーは、描かれないままに消滅し、完全に不完全燃焼です。
とは言え、麻枝准の出身が、複数ヒロインのルートがそれぞれに用意されたノベルゲームであることを考えると、この作品は存在しないゲームのアニメ化、各ヒロインのルートは割愛され、トゥルーエンドだけを描いたものであると解釈すれば頷けなくもないです。描かれなかったキャラたちの過去や消滅シーンは、ファンがそれぞれに脳内で処理すればいいだけの話です。
でも、それでも、やはり。
立華かなでが消滅した瞬間の、音無結弦の衝撃、哀切、絶望を思うと、胸が締め付けられます。
あの世界において、音無結弦は、ただひとり、死の間際にドナーカードに記入することで満足した死を迎えることができた人間でした。そんな彼が、青春時代を過ごすことができなかった仲間のために貢献し、しかし仲間たちが満足して消滅する中、彼だけが取り残されるというのは実に心苦しいものです。
最終話で描かれたエピソードは、音無結弦と立華かなでの生まれ変わった姿なのでしょうか。
ふたりの幸いなる未来を願うばかりです。
終わりに
ハッピーエンド至上主義者なので、結末は諸手を挙げて歓迎できるものではなかったですが、それでも見ることができて良かったです。忘れられない作品のひとつになりました。
そして、10月からは第3作となる『神様になった日』が始まりますね。楽しみです。