ゲルハルト・ヘヒト(Gerhard Hecht)による『アンドールの伝説』シリーズの一作『アンドールの伝説 リートブルク攻城戦』を遊びました。
2人から4人で遊べる協力ゲームです。
ゲームの概要
ミヒャエル・メンツェル(Michael Menzel)によるボードゲーム『アンドールの伝説』の外伝的位置づけの作品です。同作は2013年のドイツ年間ゲーム大賞のエキスパート賞に輝いた作品で、1人から4人で楽しめる大作協力ゲームです。
全5章からなるキャンペーンタイプの作品で、プレイヤーは勇者となり、大陸を埋め尽くすモンスターを討伐したり、城を敵から守り抜いたりします。
こちらは『リートブルク攻城戦』と同じくゲルハルト・ヘヒトによるデザインです。 そして本作『リートブルク攻城戦』は、『アンドールの伝説』の第4章と第5章の間に来るエピソードを舞台としており、モンスターに乗っ取られたリートブルク城を奪還するというストーリーです。
アークライト アンドールの伝説 リートブルク攻城戦 完全日本語版
- 発売日: 2020/11/19
- メディア: おもちゃ&ホビー
ゲームの感想
『アンドールの伝説カードゲーム 災いの島の冒険』と同じく、本家『アンドールの伝説』とは全く異なるルールであるが故に、世界観を共有しているだけで別ゲームとなります。
ただ、協力ゲームであることは共通しているので、協力ゲームだからという理由で、もしくはファンタジー世界が舞台だからという理由で『アンドールの伝説』が好きという方は楽しくプレイできることでしょう。
ストーリーも面白いです。
『アンドールの伝説』は守りのシナリオが多く、城に籠城して、四方八方から押し寄せてくるモンスターを捌きつづけるタワーディフェンス的な面白味がありましたが、本作は、モンスターに占領された城を奪還するというもので、籠城戦ではなく攻城戦、タワーディフェンスではなくタワーアタックゲームです。
と言っても、城の至るところに潜伏しているモンスターを倒しまくるわけで、実際の行動自体は、タワーディフェンス物とそう差はないかもしれません。
最初はゲームに慣れるために「初めてゲームを遊ぶ方向けへ」と指示されたように赤効果を無視し、また推奨キャラクターで遊びました。続けて熟練者用カードを入れつつ、キャラクターを変えて遊んでみたのですが、どちらも容易にクリアできてしまいました。プレイ時間的には、前者がルールを確認しつつ30分で、後者が少し苦戦して40分。ルール確認も含めると全体で1時間半程度です。
重厚な物語体験が楽しめ、多くの時間、遊ぶことができた『アンドールの伝説』と比較すると、やや肩透かしを覚える重さです。
難点としては2つあります。
ひとつは単純にバランス調整です。
2人プレイの場合、初期6枚に加えて、物語カード4枚がもたらす8枚で計14枚のカードが配置されますが、4人プレイの場合は、初期6枚に加えて、物語カード8枚がもたらす16枚で、計22枚のカードが配置されます。
プレイヤー人数が多い方が、共同攻撃しやすいので、より攻撃力の高いモンスターを撃破しやすいというメリットがありますが、8枚もカードが多いということは、倒すだけでも8手番、めくることも考えると16手番、移動まで加味すると24手番も変わってくるわけで、4人プレイの方が圧倒的に難しいと言えます。
と言うわけで、2~3人プレイのときは、1人プレイヤーが複数キャラを担当して、必ず4人キャラで遊ぶヴァリアントを提唱します。
もうひとつは、キャンペーン型でないことです。
『アンドールの伝説』も『アンドールの伝説カードゲーム 災いの島の冒険』も章仕立てになっており、第1章が実質チュートリアルで、第2章から第5章に至るまで、ストーリーが進むのを楽しめますし、じょじょに難易度が増していくので、ゲーム的にも楽しいです。
しかし『リートブルク攻城戦』にキャンペーン要素はありません。
せっかくなので、章仕立てにして、試練カードを決められた順番にクリアしなければならないですとか、山札を作るときに通常カードと熟練者用カードの比率を変えるですとか、工夫を凝らして貰えれば何回も挑戦したくなる気持ちが起きたことでしょう。
追記
ここまで書いた後に、1人2役の計4キャラクターで再プレイしたところ、物語カード残1でのクリアとなりました。
残1と言っても、最後の1手の後は、3キャラクター連続で休息を取らざるをえず、実質最終ターンでの辛勝と言えます。途中、1手でも間違えていれば負けていたでしょうし、最後、1金でも足りなければ負けているところでした。従って、ほんとうにギリギリのギリギリでした。
面白いことを確信しましたので、是非、これから遊ばれる方は、キャラクター4人にして遊んでいただければ幸いです。
一緒に遊んだぺこらさんとのラジオ
終わりに
少しディベロップメントがちょっと甘かったのでは? と思わないでもないですが、アンドールの伝説シリーズのファンとして新作が出てくれるのは喜ばしい限りです。
これからもシリーズが増え続け、世界観に広がりが生まれてくれることを願います。