舞台裏さんによるLARP×インプロ公演=Stage LARP『終局世界物語-How to spend the World End-』を観劇させていただきました。
期待していたものとは少し異なりますが、良い体験ができたので感想を書きます。
作品の概要
本作の存在はCAMPFIREで知りました。
LARPは一度だけわずかに触れたことがありますが、本格的に遊んだことはありません。
舞台上でLARPを遊んでいる役者さんを、演劇として見ることができるという点において、興味を覚えました。
また、クラウドファウンディングで支援すると、作品に関連する資料や招待状が入った「ストーリーBOX」が貰えるということで、全体でどのように表現しようとしているのか気になりました。
最初に観劇したのは『終局世界物語』という作品でしたが、結論としてはゲーム要素は少なく、ただのインプロ(即興演劇)に近かったなと感じました。
正体隠匿要素もありましたが、あくまで味付け程度で、あまり機能しているようには感じられませんでした。
作品の感想
あらすじを読んで、3作のなかでいちばん好みに近かったのは本作です。
事前にストーリーBOXに入っていた資料を読むことで、作品の雰囲気の一端に触れることができ、スムーズに世界観に入っていくことができるように感じました。
世界観は面白かったですけれど、話の作りそれ自体は地味だと感じました。
世界の終わりを目前に控え、登場人物たちがどのように考え、向き合っていくのか──という、比較的、内省的なテーマなので、登場人物たちの掘り下げがポイントになるのですが、ここは即興で作り上げるものよりも、しっかりと練り込まれたものの方が見たかったなと感じました。
また、役者さんたちの深刻さや作品の暗さに対し、GMの丹波さんが明るいキャラだったのも違和感を覚えました。
感想を書く前に『終局世界物語』で検索したところ原作が存在することを知りました。
正しくは『終局世界物語』というLARPが過去に開催され、この作品を舞台で演じられるように再構築したものが、言わばStage LARP版『終局世界物語』なわけですね。
原作が存在し、いずれプレイできる可能性がゼロであるならば話は変わってくるなと感じました。舞台上で繰り広げられた物語は、無限に存在しうるLARP『終局世界物語』のひとつに過ぎず、いずれ自分にも彼らと同じように、世界の終わりに瀕し、戸惑い悩むキャラクターを演じられる日が来るかもしれないのです。
感覚的に言えば、TRPGの配信プレイを見て、自分もそのTRPGを遊んでみたいという感情を抱くようなものでしょうか。
『終局世界物語』がTRPGならば、きっとモンスターもいなければボスもいないナラティブ系、結末もきっとプレイヤーに委ねられる系でしょう。再演の機会があれば遊んでみたいですね。
終わりに
上述の通りインプロ要素が強かったので、Stage LARPという言葉に対して期待していたものとは、すこし異なりました。
しかし、新たな世界の一端に触れられたという点において、よい体験ができました。