Giant Sparrow社のADV『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』を遊びました。
ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
プレイヤーはフィンチ家の末裔にして、唯一の生き残りであるエディス・フィンチを操作します。
物語は彼女が生家を継いで、6年ぶりに廃墟となった家に戻るところから始まります。
ゲームの感想
早川書房の異色作家短篇集、もしくは河出書房新社の奇想コレクションに見られる奇妙な味を持つADV。
こう表現すれば、きっと伝わるひとには伝わるでしょう。
具体的なタイトルを挙げればエドガー・アラン・ポーの『黒猫』であり、ブルワー・リットンの『幽霊屋敷』であり、ジェイコブズの『猿の手』。
プレイヤーはエディス・フィンチの目を通し、ウィンチェスターミステリーハウスのように改築に改築を重ね、異様な姿となったフィンチ家を歩き回ります。そして、その過程で、かつてその家に暮らしていた亡き家族たちの面影や、死の直前の様子を幻視していくことになります。
フィンチ家の女性は多くの子を生みますが、その大半は短命で、1世代においてひとりを除いて全員が死に果てます。
フィンチ家を襲った多様な怪奇現象、奇妙な事件は傷跡のように屋敷のあちらこちらに残されています。たとえば外側から施錠された部屋ですとか、壁に刻まれた兄弟2人分の身長を示す書き込みが、ある時期を境に1人分だけになっているですとか……一切のテキストでの説明がなくとも、在りし日の出来事が想像できる表現が随所に施されています。
終わりに
果たしてフィンチ家がどのような家系で、どのような結末が彼らを待ち構えているのか。
それは遊んでみていただければと思いますが、とにかく雰囲気がたっぷりで、遊び終えたときには上述の怪奇幻想小説を1作、読み終えたような満足感があります。
万人向けのタイトルではありませんが、ピンと来た方には、ぜひ遊んでいただきたいですね。