ハミングバードソフトが1988年にリリースしたアドベンチャーゲーム『アグニの石』を遊びました。
PC-88のゲームですが、現在はプロジェクトEGGからプレイ可能です。
ゲームの概要
プレイヤーは泥棒となり、ある富豪が有している真紅のエメラルド「AGNI」を盗み出すことを目的とします。
主人の運転手として雇われたプレイヤーは、自分の仕事をきちんとこなしながら、屋敷内の調査します。
ゲームの感想
『THE PALMS』『ABYSS』『ABYSS II』に続き、4作目のハミングバードソフトさんですが、時代が進んだからなのか驚くほどゲームゲームしていて驚きました。
今までの3作はコマンド入力形式で、即死トラップに気をつけつつ、一本道のシナリオを進んでいく形式でした。次になにをやるべきなのかを考え、試しに言葉を入れてみて、正解であれば次に進み、間違いであればなにも起こらない(あるいは死ぬ)その連続でした。
一方、本作はと言うと、冒頭、運転手として富豪に雇われた主人公は、執事の案内を受け、あてがわれた部屋に辿り着いたら、もう自由行動です。その部屋を探索してもいいし、屋敷内を自由に歩き回っても構わないわけです。
アドベンチャーゲームとしての急激な進化に瞠目せざるをえません。
と、言っても完璧に自由というわけではありません。雇われ運転手である以上、やらなければならないことは多々あります。
車を運転し主人を町に送り届け、時間になったら迎えに行かなければなりません。食事の時間になったら食堂に行かなければなりませんし、家人が入っていないタイミングを見計らって入浴も済ませなければなりません。
このすべてはリアルタイムに進行するゲーム内時間のなかで処理しなければならないので、けっこう慌ただしいです。
その一方で面白いのは、登場する全キャラクターが、それぞれの生活リズムに基づいて行動していることです。
主人公は使用人として執事からマスターキーを受け取るので、それを用いて屋敷の大部分は自由に調査が可能です。しかし、もちろん、その部屋の住人がいる前で、ものを漁ったりはできないわけで、その人物が部屋にいないスキを見計らう必要があるわけです。
すべてのキャラクターは自室の他、食堂だったり風呂だったり、時間によって決められた場所にいます。それを把握して行動する必要があるわけです。
実に面白いです。
テキストも軽妙でした。
シナリオは元グループSNEの下村家惠子氏が手掛けられているということで、泥棒稼業の主人公のセリフは、どこかウィットに富んでいます。
意外な人間模様や予想のつかない展開など、ゲームとしてだけでなくストーリーとしても面白いです。
クリアは大変でしたが、楽しいゲームでした。
終わりに
ここしばらくはハミングバードソフトのADVを集中的に遊んできましたが、いったんレトロゲームはお休み予定です。
ハミングバードソフトの中では、安田均氏が原作で『ゴーストハンター』の元になったと言われる『ラプラスの魔』と『パラケルススの魔剣』が気になってはいますが、こちらはRPGですし、機会があればということで。