雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

2023年7月に遊んだり触れたりしたもの


 皆さん、こんにちは。秋山です。
 7月に遊んだり触れたりしたものを振り返ります。

焚家

動かないエレベーターの謎

モンスターハンター(映画)

イマーシブミュージアム

シャーロックホームズ(映画)

スリーピングゴッズ

ペーパーダンジョンズ

ツーカーメーカー

皇帝の賽

ミステリープレイヤーズ

池袋ミステリータウン オープニングセレモニー

サイ課

クラヤミ窃盗団からへいわ通り商店街を救え

多数決探偵黒

崩れゆく空中都市からの脱出

アルティメットクロスオーバーモモタロウ

深海の城タイタン

8月のタイムマシン

ツーハンデッドスペード

退屈研究所からの手紙

箱庭遊園地からの脱出

君たちはどう生きるか

謎のスパイと伝説のホスト

絶体絶命のカケラからの脱出

黒鉄の海中研究所からの脱出

延岡健太郎『キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション』

 ここ数年、よく耳にするようになったキーエンスという会社を、しっかり学びたいと思って手に取った。深いレベルで顧客研究を行ない、顧客担当者ですら気付いてない潜在的ニーズを解決するソリューションを提案することで、圧倒的な価値を実現。最小のコストに付加価値をつけることで利益を最大化する、しかもその案を採用することで顧客にもメリットがある。いわゆるCX的な営業を、経営レベルで、一貫して何十年も実現し続けている。なるほど成功しないわけがない、これが真のイノベーションか。

阿津川辰海『蒼海館の殺人』

 激烈に面白かった。館に災害が迫るという構図は前作同様だけれど、今回はテーマ探偵をとことん追求しており要素が少なめだったので、本格ミステリをじっくり堪能できた。特に367ページ以降は一気に物語が加速し、解決編における怒涛の解明は爽快感。前作とセットで、ようやく物語がまとまったようにも感じられ、読めて良かった。傑作。

倉知淳『大雑把かつあやふやな怪盗の予告状: 警察庁特殊例外事案専従捜査課事件ファイル』

 表紙絵とフォントから察せられる通り、小気味よく、どこか気の抜けた炭酸のような物語なのだけれど、事件自体はむしろ骨があるし、文章量もしっかりあるので、アンバランス。表題作がいちばん好みだけれど、「事実は小説よりも奇なり」の逆を行くような3作目が、ミステリとしては最も優れているように感じた。

鎌倉幸子『走れ!移動図書館: 本でよりそう復興支援』

 移動図書館について知りたくて、手に取ったら東北復興の本だったので「違ったな」と思ったけれど、いざ読み始めてみたら、まさしく期待通りのものだった。移動する図書館という空間が、いかに人々を繋ぎ止めて、憩いの空間を提供するか、本という文化に触れさせるか。素晴らしい活動の履歴であると同時に、言葉にはようよう尽くせない考え方が刻まれた名著だった。

麻耶雄嵩『化石少女』

 麻耶雄嵩らしい変化球、そして歯切れの悪い読後感。舞台がアニメっぽい高校であることに加え、2年生なのに1年生からも化石少女と呼ばれる奇天烈な女子が探偵だったり、見た目はライトに仕立て上げられているけれど、本質は邪悪。情け容赦なく殺人は発生するし、どうやらすべて迷宮入りしているようだし、まるで魔窟。この新しいタイプの探偵と助手がいかなる展開を追うのか、続編が楽しみ。

三津田信三『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』

 刀城言耶の研究室が舞台なのに、当の本人は登場しない連作短編。不可解な怪異に対して現実的な謎解きを与えるという安定感のある展開に加えて、今までの作品の舞台になった地名が再度取り上げられたり、懐かしい名前が出てきたりファンサービスたっぷり。いちばん気に入ったのは「近寄る首無女」三津田信三の描く首無は、いつもどの作品でも一級品。

白井智之『名探偵のはらわた』

 素晴らしい。なんとなくの印象で、グロくて悪趣味で後味が悪いのだろうなと食わず嫌いしていたけれど、完璧に優れた特殊設定物だった。確かにグロくて、ときに悪趣味ではあったけれど、後味は悪くなかったし、なによりミステリとして素晴らしかった。読めて良かった。

白井智之『名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件』

 傑作。冒頭からとにかく魅力的で1文字だって読み逃したくなくて、丁寧に時間を掛けて読んだ。前作『名探偵のはらわた』とは、あらゆる意味で異なる方向性だったけれど、続けて読んだのは正解だった。世界観、人物造形、ミステリ、トリック、すべてが高い次元でまとまっていて、完璧だった。