掌編小説でもなく、ショートショートでもない。
超短編というジャンルがある。
俳句のように季語を組みこむ必要はない。
詩歌のように韻を踏む必要もない。
ただ一つの制限と言えば。
五〇〇文字以内で書くということ。
原稿用紙、四分の五枚に収まる、とても短い小説。
でも、だからこそ難しい。
だからこそ面白い。
そして、だからこそ。
自由を求めて、鎖を解き放ってしまう。
さあ。
ここには何もない、戒めも咎めもない。
五〇〇文字以内というただ一つのルールもない。
真っ白な、純粋な世界。
数行の文字が浮遊する。
静かな、
静かな、
静かな、
秘密の楽園、桃源郷、聖域、そして――雲上。