- 作者: 山本文緒
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/06
- メディア: 文庫
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テーマのひとつひとつが、それだけで長編が描けてしまうぐらい重く、それを掌編という短さに抑えているゆえ、凄まじく不完全燃焼を感じると同時に壮絶なまでの切れ味を誇っていると思う。主に描かれているのは女性なのだけれど、勿論、彼女らを取り巻く環境として男も描かれるし社会や学校や環境と言ったものまで言及している。そしてそれらの存在によって、本書はもはや誰の目を背けることも許さない凄惨な出来に仕上がっている。文字通り、他人事ではないのだ。女であろうと男であろうと、社会人であろうとそうでなかろうと、避けては通れない問題が括弧たる問題として、あるいは茫洋と描かれているのだ。必読。