雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

的を射る言葉

的を射る言葉

的を射る言葉

 帯を見ると「わざと的を外すことに真理がある/的を狙わずに本質を射抜く108のメッセージ。/「気付かされ」、そして「気付く」ための言葉。」とある。題名が『的を射る言葉』なのに「的を外すことに真理がある」とはこれいかに。後書きを読めば分かるのだが、つまりは的の中心を射抜いてしまっては、ありがたくとも何ともない言葉になってしまうから、わざと的の中心を外すのが大事なのだそうだ。また108のメッセージというのは厳密には嘘で、108のテーマとそれに合った言葉が150点ほど紹介されている。この150ほどの言葉とは、森博嗣が日記を書き続けていた頃に「本日の一言」として書いていたものなので、この本を出すために書き溜めたものではない。その点、注意が必要である。
 掲載されている言葉の数々は、いかにも森博嗣らしいものばかり。少し、引用してみよう。
「議論がしたいんだよ」とは、「僕の意見を聞いてよ」と同義である。
「自信がない人間ほど、「自信がないのか?」と他人に問いかける。
楽な仕事を見つけて逃避する人は、本当に仕事熱心な人よりも、ずっと仕事熱心に見える。
「こんなこと言いたくありませんが」と言いたがる奴。
 などである。どうだろうか、本当にいかにも森博嗣らしいだろう。実際のところ、森博嗣好きにとって本書は全くもって問題ないのだが、上の言葉が耳に痛い人にとっては読みたくない本であることは間違いないだろう。したがって本書は、森作品の中でも最も勧めたくなる本でありながら、実際には勧められない本だと思う。