雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

本と涙と謎解きと、愛しさと切なさとボードゲームと

玉川上死

http://www.so-net.ne.jp/e-novels/nov/u001/u0010001.html

 記念すべき500回目のブックレビューは、『e-novels』と『ミステリーズ!』の共同企画、川に死体のある風景の第一回である。これはその名の通り毎号、異なる作家が川に死体のある風景を描くというもので、作品は『e-novels』と『ミステリーズ!』の両方に掲載される。自分は『ミステリーズ!』を購読していないので、『e-novels』でこの作品だけを楽しませてもらった。
 作品に関して、一言で言うととても面白かった。「玉川上水を死体が流れている」という通報を受けて警察官が川を流れ続ける死体を何とか捕まえようとするのだけれど、恐怖もあって中々、捕まえにいけない。そこで思い誤って警官は「おい、止まれ」と叫ぶのだけれど、すると死体だと思われていた人物は「僕のことですか?」とむくりと起き上がるのだ。「川に死体のある風景」なのに死体ではなく泳いでいただけというくだらなさ。この一転の後も、二転三転と物語は思わぬ方向に転じていくのだ。そして最後は予想の範囲内ながらも、痛みを感じられずにはいられない解決に……。雰囲気としては、西澤保彦の『パズラー』に掲載された作品のひとつに近い。犯人はこの人物でしかありえない、しかしこの人物を犯人と指摘してしまったが最後……勝者にして敗者、冒さなくてはならないリスク、素晴らしい。