- 作者: スガ秀実,渡部直己
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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本書を実用書として用いたいなら、第二講義「ブックガイド篇」が、本書を小説について語っている対談として読みたいなら、第一講義「心構え篇」と第三講義「実践篇」が力を持ってくるだろう。第二講義の「小説入門書ミシュラン」や、第四講義「必読書一〇〇選」なども充実している。
仮に小説を書く人間に小説家と小説屋がいるならば(このふたつがどう違うかは定義しない)、この本は徹底的に小説屋を貶し、小説家として小説家を書くこと、ひいては小説家として生きることを指南している。少しでも真剣に小説を考えるつもりがあるならば、本書はそれこそ必携必読だろう。ただし、とても難解である。読み終えて一言「難しい」と漏らし、ページを繰ったら、本書の旧版である『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』の宣伝が打ってありました。曰く――「10年前に出版した『それでも作家になりたい人のブックガイド』が難しすぎるという声に答えて新版にしたのが『新それなり』です。新版を読んだ方に、上級編として旧版『それなり』をお勧めします。――どうやら、新版の本書は易しく書かれたようです。
最後に。234ページより二葉亭四迷の「言文一致」の解説から引用「よく考えてみれば、ほとんど崩壊しつつある話し言葉やメール文体を使って携帯小説を書く行為などは、第二の、しかし安直な言文一致といえてしまうかもしれない。」