- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/02
- メディア: 文庫
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五つの短編からなっているのだが、短編集とも連作短編とも違う。基本的に日常の謎だけしか取り扱っていないのだが、叙述トリックも放っているし、何よりも構造が見事なのだ。基本パターンとしては、一見、関連性の薄そうな逸話が来て、謎をにおわせる事件が起こって、両者を見事に繋げて解決してくれるのだ。解決はどれも現実的で、謎を一寸の隙なく解決し尽くした上に夢を残している。それが五連発。紛うことなき、傑作だろう。
解説も凄まじい。ミステリ系の人はご存知、佳多山大地なのだが、これは解説を通り越して解体である。作品のひとつひとつを取り上げて、事件の起こりから解決まで、どこが魅力的なのか、どこが優れているのを極めて端的に偏執的なまでに指摘してくれるのだ。中には、筆者が敢えて書かなかったのだろうなと思われるところまで佳多山は指摘している。素晴らしい。解説、素晴らしい!