雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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1161『枠の外にある風景』

枠の外にある風景

枠の外にある風景

天に高く地に深く』で知られる同人サークルnukoの代表、石川寛之による小説。
 題材は、自分探しの旅! である。
 実に清々しかった。表紙を見たときに恋愛物か青春物かと思ったのだが、そんな軟弱な要素はなく、読者が驚くぐらい、真剣に、これ以上はないというぐらい主人公は自分自身や世界との接点について考えているのだ。文学的でさえある。タイトルにある「枠」とは、通常、人が一生を暮らしている間に見ることのできる、感じることのできる領域ではないかと思う。主人公は自転車にまたがって、「枠」の外に飛びだし、そこで外の世界を見てしまう。けれど、そこで事件らしき事件に出会うわけでもなく、ただの風景を、いや、これもあれだ。人生を楽しむ類の本だ。良かった。