1987年にホテルイベントとして誕生した、観劇と謎解きが一体化した、当時は、まったく新しい体験型のイベント「ミステリーナイト」。今年は30周年ということで、綾辻行人、有栖川有栖、我孫子武丸、法月綸太郎、山口雅也、麻耶雄嵩とのコラボということで万難を排して参加させていただきました。
と言うわけで『ミステリーナイト 2017 人気作家連続失踪事件 ~そしてAの姿も消えた~』の感想です。ネタバレはしないよう注意していますが、気になる方は回れ右推奨です。
第一声
いやー、面白かったですわー!
こんな濃密な探偵&推理時間、なかなか過ごせないですね。
堪能しました!!
どんな感じで秋山が楽しみに楽しんだのか、時系列で紹介させてください。
15時55分
池袋駅南口から、徒歩数分。
ここが会場となるホテルです!
16時
チェックインは16時から18時半の間、と言うわけで16時ぴったりにホテルに入りました。
既に行列ができていて、テンションが上がります。
いくらか並んでから捜査ツールを受け取ると、参加特典としてピンバッジをいただいて、もうこれだけで満足感あります。また、客室のカードキーを渡されますが、支払い自体は明日の朝10時までにホテルの受付で済ませて欲しいと言われます。こういうのは後回しにしない派なので、すぐに1階に戻り、支払いを済ませます。
さらに、既に館内には、事前情報パネルが展示済みということで、ホテルを歩き回って、撮影して回ります。
一通り情報を揃えたところで客室に向かい、椅子に座って一息ついたところで16時半でした。
20時
事件編、いわゆる観劇パートが始まるのは21時なので、それまでは捜査ツールに含まれていたストーリーや登場人物、事前情報パネルの内容を読み込んだりします。
ミステリーナイトディナーを申し込んでいると、ヒントつきホテルディナーを楽しむことができるのですが、リアル課金システムは好みではないので見送り、天下寿司という回転寿司に出かけました。
20時半
開場時間に合わせて移動します。
席は決まっているので、早めに行かないと前の方に座れない! なんてことはないのですが、早めに行けば舞台のセットを間近で確認しておけるので、早めに行くのはありかもしれません。
21時
事件編が開演します。
手元にメモを用意して、役者さんの重要そうな発言をメモしながら劇を楽しみます。
22時
事件編終了。
いったん休憩ということで、秋山は、この間にファミマに出かけて夜食とペットボトルの水を買ったりしました。
22時半
質疑応答編と言うことで、参加者総勢420名の中から、早い者勝ちで12名の方が、役者さんに質問する権利を得られます。
第1ブロック、第2ブロックと、あまり挙手がなく、かろうじて3名ずつが質問したという感じでしたが、秋山の座っていた第3ブロックは記念に質問しようと思っていた秋山含め、5~7名ほどが同時に挙手した激戦区でした。
質問したいはしたかったですが、きっと、他に挙手されている方は、歴戦の猛者なのであろうと思い、そっと手を下ろして辞退しました。
この質疑応答編は、けっこう面白くて、役者さんに直接、質問できる貴重な機会なのですが、役者さん的には、観客の質問に対しアドリブで答えなければならない、けっこう辛い時間であるみたく、事前に答えを用意していたであろう想定質問ならば、スラスラと回答していましたが、そうでない質問の場合、
「それは、あれですよ。まあ、色々ってやつですよ」
という奥歯に物が挟まった政治家の答弁みたいな感じで面白かったです。
日を重ねれば役者さんも慣れてくるでしょうから、初日ならではの面白味かもしれませんね。
23時半
質疑応答編が終わり、いよいよ捜査が始まります。
まずは小謎を解いてヒントルームに入室し、新たな情報を入手したりします。
この捜査パートは、比較的、サクサクでした。難易度的には、リアル謎解きゲーム的の小謎に相当し、いずれも瞬殺でした。渋滞に巻き込まれつつも24時過ぎには、客室外で手に入るすべての情報を集め終えることができました。
24時15分
客室にはヒントビデオと称した映像が、繰り返し流されていて、この映像の中にも情報が含まれます。
24時半
ヒントビデオを見終え、すべての情報が揃ったことを確信します。
秋山が、カトリーエイル・レイトンであったならば、後は解決ボタンを押せば、閃き完了して、すべての真相がつまびらかにされます。が、秋山はカトリーではありません。もちろん、ヴィクトリカでも、九十九十九でもありません*1。
ここから先の時間は、個人的には、けっこう至福の時間でした。
事件編で役者が口走っていたふしぎな一言、ヒントルームに無造作に置かれていた不可解な証拠品、ヒントビデオ内で聞いた奇妙な証言。ひとつひとつは、ジグソーパズルのピースのように単体では意味を持ちません。しかし、それらをひとつひとつ吟味した上で、他の情報と組み合わせてみると、驚くことに最初には想像だにしていなかった、ひとつの絵が浮かび上がってくるのです。
この情報と情報を連結させる推理は、単純に論理力を働かせれば可能になるものもあれば、発想を飛躍させる必要があるものもあります。
分かるところから少しずつ考えを進めていって、
「あれ、最後に残ったこの矛盾。この矛盾を解決しようとするならば、つまり、これは、こういうことだったのか……!」
と気づくことができた瞬間。
震えるほど気持ちがいいですね。
27時
瞬く間に至福の時間が過ぎ去り、逮捕状提出期限である深夜3時となります。
秋山は鉛筆やフリクションボールペンといった書いたり消せたりできる筆記用具を忘れてしまったので、すべてボールペンでやっつけることになったのですが、なんとか時間までには、一通り納得できる回答が用意できました。
逮捕状を提出し、客室に戻ってきたら、シャワーを浴びる元気もなくベッドに倒れ込みます。
ストーリー紹介
ところで、激しく今さらではありますが、ここでストーリーのご紹介です。
2017年夏。新本格ミステリ誕生30周年を記念して、映画が作られることになった。
稀代のミステリーマニアが建てた、古今東西の推理小説ばかりを集めた図書館を舞台に、本格ミステリの人気作家6人が映画の監修をする、というファン垂涎のミステリ映画が誕生するはずだった。
が……。 撮影クランクイン当日、作家たちが失踪していることが判明した!
http://www.epin.co.jp/mysterynight/2017
撮影現場の図書館に駆けつける予定だった作家たちが誰一人現れなかったのである。
作家たちと連絡が取れず、不安に襲われる映画関係者。
そこに脅迫状が届く。「作家Aを預かった」
何が起きたのか!? 混乱の撮影現場では、追い討ちをかけるように戦慄の事件が発生する!
とまあ、こんな感じです。
6時
目が覚めました。
手をつけていない夜食を「なんで買ってしまったのだろう」とぼんやり眺めつつ、朝風呂を済ませます。
6時45分
朝食つきのコースなので、ホテルのビュッフェを堪能します。
ホテルのですね、ビュッフェと言えば、オムレツ、これですよ。チーズ入り、美味しかったです。
8時
客室に戻り、ベッドに倒れ込みます。
ご飯を食べた直後に横になると牛になると、子どもの頃、母に何度も叱られましたが、さすがに眠いです。
9時半
二度寝からの脱出を果たし、身支度を整えます。
10時
チェックアウトして、解決編を見るために宴会場に戻ります。
この日の席も早い者勝ちなどではなく、前日の事件編を観劇したときと同じ席なので、慌てる必要はありません。
10時半
いよいよ解決編が始まります。
役者さんの演技を見たり、発言を聞いたりしながら、内心で、
「やっぱりな! だと思ったよ!!」
と、ほくそ笑んだり、
「うへえ、的中してた! リスクを恐れて逮捕状に書かなかったけれど、思い切って書けば良かった!」
と歯がゆい思いをしたり、
「ええーっ、そうなの? 違うと言ってよ! 否定してよ!」
と、提出してしまった逮捕状を、今さらながらに書き直したい気持ちに陥ったりします。
11時半
解決編が終わると、そのまま表彰式です。
国語のテストよろしく逮捕状を採点し、成績上位の参加者から順に呼ばれて、缶バッジをプレゼントされたり、記念品を渡されたりします。
残念ながら秋山は呼ばれず、壇上に招かれて嬉しそうにしている他参加者を「ああ、いいなあ」とぼんやり眺めるだけでした。
12時半
イベント終了。
外に出ると、佐野バビ市さんがいらっしゃって、素晴らしいサービス精神を発揮して、参加者と記念撮影していたりしていました。非常に前向きな姿勢に感動しながら、秋山自身は恥ずかしさが先立って、話しかけられませんでした。
終わりに
と言うわけで、16時から12時まで20時間、最初から最後まで最高に楽しい、充実した時間を過ごすことができました。
SCRAPに代表される1時間公演型のリアル謎解きゲームとは、10倍近い価格差があるので、参加する前は、
「今回は30周年記念と言うこともあって参加したけれど、来年は参加しないだろうなあ」
と、思っていたりしましたが、今のテンション的には、
「来年の告知っていつくらいになるんだろう、日程は決まってるのだろうから、早めに教えて欲しいなあ」
と、参加前と後とで、180度、考えが変わっていましたとさ。
*1:ここらへんのネタは、少し前に書いた『レイトン ミステリージャーニー』の感想記事をご覧ください。