ミステリーナイトで知られるイーピン企画さんによる、ミステリーステージオンライン『劇団ミルキィポール殺人事件』を遊びました。
オンラインで遊べる参加型ミステリーイベントです。ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ミステリーナイトとは
ミステリーナイトは演劇と犯人当てが組み合わせられた参加型ミステリーイベントで、けっこう歴史があります。
夕方から翌日昼にかけて開催される、かなり大規模なイベントです。キャストの多い演劇があることに加え、会場はホテル、しかも一泊。と言うことで、お値段は2万円以上とそこそこします。秋山は30周年のタイミングで一度だけ参加させていただきました。
非常に面白かったので、また参加したいなと思いつつ、やはり参加費と長時間拘束がネックになり、その後は、同じイーピン企画さんによる小規模イベントにしか参加できておりません。
ミステリーナイトに興味を持たれた方は、公式が用意している「ミステリーナイトとは」の記事が写真入りで分かりやすいです。
また、お手軽に体験してみたいという方は、スモール出版さんがミステリーナイトを追体験できる書籍を敢行されています。秋山も購入済みですが、実は積んでおりまして……遊んだら、また感想を書きます!
- 作者:E-Pin企画
- 発売日: 2015/08/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ミステリーステージオンラインとは
前段が長くなりましたが、本記事で紹介する『劇団ミルキィポール殺人事件』はミステリーステージオンラインという位置づけで、ミステリーナイトという大型イベントを、
・オンラインで
・2時間で
・3800円で
遊べるようにしたものです。
ミステリーナイトは、ミステリーナイトで特別感のあるイベントですが、個人的には、よりお手軽にミステリー体験を求めているので、オンラインであるため空間を問わず、2時間で終わるので気楽に楽しめ、安価であることはメリットしかありません!
ゲームの感想
ライターの桐山桜子(きりやま・さくらこ)は、人気劇団ミルキィポール新作公演の合宿稽古取材のため、山奥の宿泊施設に向かった。その取材中に起こる惨劇。彼らの人間関係と桜子の想いが心を揺さぶるミステリー。
https://www.epin.co.jp/ms-online/
非常に面白かったです。
2時間で演劇を見させて、プレイヤーに捜査させて、逮捕状を提出させて、解決編の演劇を見させて、表彰式までできるの? と半信半疑でしたが、できていました!
……いえ、秋山が参加した初日初回公演は、実際には40分ほど押していたので、2時間には収まっていなかったわけですが……遊んでいる最中は、まったく時間の意識がなく、終了後に佐野バビ市さんが「大幅にオーバーしてるわよ! 明日以降、大丈夫なの? 次の公演の開始時間を過ぎてるわよ!」とおっしゃっていて、そこではじめて時間オーバーに気がついたくらいです。
しかし、オンラインだと時間オーバーも気にならないですね。
リアル公演だと終電がありますし、食事前だとお腹が空いて公演どころではなくなることもあります。
この点も、オンラインの利点でしょうね。
話を戻して……非常に面白かったです。
バーチャル背景を駆使しての場面移動等、Zoomの機能を活かした表現は分かりやすかったですし、実際に役者さんたちは別々の部屋にいるのでしょうが、お互いに横を向いて喋ることで、まるで向き合って喋っているように見えましたし……役者さんのプロ魂を感じました。
時間配分に慣れていなかったこともあり、演劇の最中は、おおむね大好きな佐野バビ市さんを目で追ってしまい、推理タイムが始まった瞬間には慌てました。
え、なに? 推理タイム、短くない? しかも、情報めっちゃ少ないし、こんなの誰が犯人であってもおかしくないでしょ。ひとりに限定できるの? 論理的に?? 分からん。分からん……が、とりあえず、考え始めるしかない!
時間が限られていたせいか、余計に集中力が発揮されたように感じます。
実際には、推理はきちんと的中し、犯人を言い当てたことで、名探偵として表彰されました!
と言っても、参加者45人中16点が満点とのことで、35%でしょうか。初日初回公演だったので猛者が集まっていたというのもあるかもしれませんが、やはり普段の公演に比べると情報量は少なめで、難易度は低めだったかもしれません。
ところで、ネタバレになりそうなので、明言は避けますが、解決編パートの演出は素晴らしかったです。一種のイマーシブシアターだと思うのですが、いきなり始まって正直、度肝を抜かれました。
形式も斬新でしたし、満足度が跳ね上がりました。
しかし、真に驚いたのは表彰式においてです。城島和加乃さんが登壇し、解説のなかで「○○○演劇をZoomでやりたかったの」とおっしゃっていて、慌てて調べたら1981年に初演されたものでした。日本でも2010年代半ばには同様の演劇が出始めていて、演劇の奥深さを知ると同時に、もっと深く学びたいと思った次第。
良くなかったところ
最後に、良くなかったところを少々。
ひとつはBGMの扱い。おそらく、スタッフ用PCの前にスマホを置いて、流したBGMをマイクで拾っていたのでしょう。しかし、ZoomがBGMを優先して、役者さんの声を拾わなかったり、役者さんが息継ぎのタイミングだけBGMが入ってきたり、舞台を盛り上げるどころか、殺してしまっていました。
一度でもリハーサルを行っていれば、あるいは「Zoom BGM」と検索するだけで、BGMの流し方は分かります。
すゞひ企画さんの『ある冴えない男の人生最悪の選択』は、最高のタイミングで、最高に盛り上がるBGMが流れ、感動のあまりボロボロ泣いたので、こちらもエンディングにおいて適切にBGMが流れていれば、もっと体験価値が上がっただろうなと思うだけに残念です。
もうひとつは、○○○演劇のところですが、ちょっと判定がシビアではないでしょうか……?
途中で「え、どうしようどうしよう」と悩んでいるうちに、ついていけず脱落することになってしまいました。もう少し猶予時間を設けるか、あるいは「3分間、待ってやる!」みたいな台詞を入れてくれると嬉しいなと感じました。
終わりに
と言うわけで、中身は非常に良かったけれど、システム面が少し残念な公演でしたが、こういうトラブルも含めて楽しみたくて初日初回公演を狙っているので、そういう意味では「はじめてならでは」を味わえて良かったです。
先月開催の『今こそ安楽椅子探偵になろう!犯人当てオンラインツアー』も面白かったですし、イーピン企画さんには、是非、引き続きオンライン公演を手掛けていただきたいです。応援してます!