雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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協力型推理ゲーム『修道院はどこに消えた?』デザインしました

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 このブログでは、お知らせできていませんでしたが、協力型推理ゲーム『修道院はどこに消えた?』をデザインしました。
 アートワークをぺこらさんにお願いして、ミスボドゲームズとしてゲームマーケット2019秋にリリースさせていただきました。今日は、このゲームについて、つらつら書こうと思います。

『修道院はどこに消えた?』とは?

『修道院はどこに消えた?』は、1人から5人で遊べる45分の推理ゲームです。
 GM不要のマーダーミステリー風推理ゲームというジャンル名をつけましたが、今は、シンプルに協力型推理ゲームでよかったかなと考えています。
 マーダーミステリーにおける推理と議論の魅力を残し、正体隠匿要素を省いたシステムで、制限時間30分以内に修道院タイルを探し出そうという、ボードゲーム『カルカソンヌ』をモチーフにしたゲームです。プレイ時間を45分としているのは、インスト込みの時間です(1回しか遊べないゲームは、インスト時間もプレイ時間に含めて良いのではという考え)。
 紹介しておいて何ですが、既に完売しております。
 詳細はミスボドゲームズの更新をご覧ください。

『修道院はどこに消えた?』の口コミ

 遊んでくださった方の感想という観点では、Twitterで発見したものをTogetterを使ってまとめさせていただいています。
 最初の方は、テストプレイ時のものが多めですが、遊んでくださった方の生の声があるので、参考になるかと思います。最近は、あんまり更新できていませんが……。

 また、セカンドステラさんが作られた、マーダーミステリーの感想を共有するアソビコネクトにも有志の方がページを作ってくださった様子です。
 こちらはネタバレありの感想になりますので、未プレイの方はご注意ください。

 ボドゲーマさんにもページを用意いただきました。
 まだ、レビュー等はありませんが……。

 BGGにも登録されています。
 こちらもレビュー等はありませんが……。

未プレイの方への紹介

 遊んでくださった方の声のなかで、印象的だったのは「謎解き要素のない『EXIT』や『アンロック!』みたい」という感想です。的を射ているなと感じました。
 計30枚のカードをテーブル上に裏向きに置いていただき、1枚ずつめくりながら、真相を追求していただくというシステムです。全部、めくったらだいたい答えが分かりますが(難易度を星1として設定していますが、正解率90%くらいでしょうか)、めくった枚数が少なければ少ないほど高得点、という仕組みです。
 イメージ的には、ジグソーパズルに近いのではと考えています
 30枚のピースが裏向きになっていて、1枚ずつめくっていって、何枚で、そのジグソーパズルが何の絵なのかを当てるという感じです
 励みになりますので、遊んでくださった方は、是非、Twitter等で感想を呟いていただけると幸いです。ネタバレだけは、未プレイの方に悪いのでご遠慮いただければと思いますけれど。

ライセンスフリー

 ライセンスフリーという表現が適切かどうかは分かりませんが、『修道院はどこに消えた?』は、旧来のボードゲームと同じような扱いで捉えています。『人狼』のカードセットに近いかもしれません。買っていただいた後は、自由にイベントを立てていただいて構いません、的な。
 ミスボドゲームズに対するライセンス費用は発生しませんので、有償イベントとしてプレイの場を設けていただくのも問題ありません。特に、現在は完売済みで、入手の機会がありませんので、個人的には歓迎です
 尚、GM向けに簡易マニュアルを用意しました。ご希望の方はご連絡ください。α版ですので、内容は少なめですが、希望者が多ければ、ちゃんとしたものを用意します。

デザイナーズノート的なあれこれ

 ここから先は、冒頭に書いた「つらつら」の部分です。
 時間のあるときにどうぞ。


『修道院はどこに消えた?』を作り始めたのは、2019年6月16日です。
 ディアシュピールさんで『王府百年』を遊ばせていただいて、感銘を受けて、その日の夜から作り始めました。
 Ver.1のテストプレイを行ったのは、6月29日です。そこから15回以上テストプレイを行って、計50名以上の方に見ていただいて、10月16日に入稿しました。


 作り込んでいる最中、度々、意識したのは逆張りという言葉です。
『王府百年』を遊んだとき「ああ、これは流行るな」というのと、「多くの方が『王府百年』ライクなマーダーミステリーを作るだろうな」と確信しました。
 なので、その逆を行こうと思いました。
 サブミッションや密談、正体隠匿要素は、潔く削ぎ落とし、ピュアな推理ゲームとして成立するように納得感や導線というポイントを重視して、ブラッシュアップを心がけました。また、ボードゲームの文脈にその身を置いていたこともあり、ゲーム会やボードゲームカフェで遊べること、座ったままで立ち上がる必要がないこと、人狼が苦手なプレイヤーでも楽しめること、人数制限の縛りがないこと、なども意識しました。
 創元推理文庫の北村薫にはじまる日常の謎が好きなので、殺人事件は起こさないことにしました。殺人事件の動機のなかには、ゲームプレイヤーのトラウマを刺激しうるものもあるでしょうから、その観点から言っても誰も傷つけない日常ミステリを目指しました。
 難易度を★1にしたのは、まずは、このゲームシステムそれ自体を問うてみたかったからです。『王府百年』のフォロワーが現れる頃には、既にして『王府百年』が広まっているでしょうから、アクションチップを用いてカードをドローしたり、密談したり、それ自体は市民権を得ている状況と言えます。
 しかし『修道院はどこに消えた?』で採用している、カードをめくり、その総数を競うという仕組みは、新しいものとなります。この新しいシステムを使いつつ、ミステリとしての難易度まで高いとなると、二重に難しい作品になってしまいます。複雑なゲームは、後からいくらでも作れます。まずは、このシステムを体感してほしい、このシステムが世の中に通用するのか確認したい、そう思って敢えて難易度は下げました。


 ここ数年、エッセンシュピールに参加し続けていて、ドイツにおけるボードゲームシーンを間近で見ていたことも経験として良かったです。『EXIT』や『アンロック!』、『デクスケープ』に代表される謎解きゲームから、謎解き要素を省き、推理に特化したゲームが出るのではないかと考え、その先駆けになりたいなと考えました。全カードに英語テキストをつけ、英語ルールを作ったのもそこが理由です。
 もっとも『修道院はどこに消えた?』の入稿を済ませ、意気揚々とエッセンシュピール2019に出向いたら、同じことを考えていたひとがドイツやスペインにもいたのか、すでにCOSMOS自身が『EXIT』から謎解き要素を省いたものをリリースしていましたし、『シャーロック』という傑作推理ゲームがいくつもリリースされていました。とは言え、一通り遊びましたが、まだまだ挑戦の余地はあると思うので、ここらへんは一緒にやっていただける方とがんばりたいなと思っています。


 カードサイズにもこだわりました。かんたんに作成できるという理由で、名刺サイズやTCGサイズは避け、可読性に長けたB7判を選択しました。これも、ひとつの逆張りかもしれません。実際に読みやすくて好評かなとは思うのですが、このせいで、適切なサイズの箱が見つからず困ることになるわけですが、座ったままプレイできて、遠くからでも文字が読めることを重視しました。
 と言うわけで、苦労した箱ですが、このサイズ感は当初から想定していました。ゲーム会の主催を続けるなかで、箱のサイズは、ゲーム置き場において存在感を発揮する重要な要素と捉えていて、小箱から中箱の間に位置するような、そこそこのサイズ感を意識しました。
 ゲームの内側、肝となるテキストに関しても、随所にこだわりがあるのですが、ネタバレ禁止のゲームである以上、なかなか説明が難しく……ここは、またの機会とさせてください。

終わりに

 と言うわけで、今日は『修道院はどこに消えた?』の話でした。
 上述の通り、完売済みで現在は入手方法がありません。少しでも多くの方に楽しんでいただければと思うので、GMとして遊ぶ場を作ってくださる方は、なんらかの形で協力できればと考えています。秋山自身も、ミスボド等で遊ぶ場を提供できればと思うので、興味を持ってくださった方は、お声掛けいただけると幸いです。
 次のゲームも、せっせと作っているので、お楽しみに。