協力型の謎解き探偵物語と銘打たれた協力ゲームと推理ゲームの要素を併せ持つ『デッドライン』を遊びました。
面白いですし、好きではあるのですが、致命的な瑕疵がどうしても見過ごせず、オススメしきれない……そんなゲームです。
ゲームの概要
舞台は1930年代のニューヨーク。
https://arclightgames.jp/product/%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3/
あなたたちは、元警察官であるボスが集めた精鋭の探偵となり、協力して手札を出し合い、手がかりカードを集めることで物語を進めて、事件の真相解明を目指します。
2人から4人用の協力型カードゲームです。
ゲームは手がかりカードを集める捜査フェイズと、集めたカードを元に犯人当てを行う推理フェイズに分かれています。
捜査フェイズは、まずどの場所を調査するかを議論します。
ネタバレを避けるため一例で説明すると、犯行現場、警察署、図書館のどこを調査するか選ぶわけです。調査対象を選んだら、聞き込みのためにカードプレイを行い、これに成功すると手がかりカードをひっくり返すことができ、情報が得られます。
たとえば犯行現場のカードをひっくり返すと、凶器や死因などが分かり、次の調査対象として死体置き場が解放されて、そこを調査すると死亡推定時刻が分かりそうだ……みたいなことが匂わされたりします。
すべての手がかりカードをひっくり返すか、破棄するかしたら推理フェイズに移ります。
推理フェイズでは手がかりカードの情報をためつすがめつしながら、犯人や動機を推理します。犯人は嘘をついている可能性があり、また証拠隠滅された可能性や、調査に失敗し聞き込みした場合、プレイヤーの元には、情報が出揃っていないかもしれません。
想像力を働かせ、満点を目指します。
ゲームの感想
……と、ここまで読んでいただければ、これが、とんでもなく面白いゲームのように思えることでしょう。
いえ、実際、推理フェイズは、非常に面白いです。
何度も情報を読み返し、プレイヤー間で仮説を披露しあい、事件を推理し、犯人を当てるのは、とても楽しいです。
ただ、この時間がとても楽しいだけに、捜査フェイズの冗長さが耐えられないのですよね。
やっていることは、ただのハンドマネジメントとカードプレイングで、しかも機械的になりがちで、創意工夫が功を奏することは少ないです。
フレーバー的には「ふむ。メイドが怪しいな。次はメイドに聞き込みをしよう」と進めたいのに、配られた手札を見た結果「この手札じゃメイドは無理。地下室なら成功できそう? 事件に関係する情報が得られるとは思えないけれど……」と、手札によって次のアクションが左右されがちなのです。
しかも、たいして期待していなかった地下室から重要な情報がもたらされたりして、結局、捜査フェイズ中に聞き込み先を峻別する必要はない。とにかく少しでも多くの情報を得るために、成功しそうな手がかりカードから順番に取り組んでいく。と、なりがちなのです。
こうして振り返ってみても、ゲームを遊んでいるとはいいがたいです。
完全に、ゲームに遊ばされています。
また、全部で12の事件が封入されており、魅力的な推理ゲームを12回も楽しめるわけですが、別に後半になっても捜査フェイズのルールが変わったり、変化が生まれるわけではありません。
事件1から事件12を通して、前半の捜査フェイズは、同じことを黙々と繰り返すだけなので、冗長としか言いようがありません。
キャンペーン要素のあるゲームと言えば、真っ先に思い浮かぶのは『パンデミック:レガシー』であり『グリッズルド:休戦版』です。
これらは基本ルールに変化はありませんが、シナリオごとに特殊ルールが追加されたり、独自イベントが発生したりして飽きを感じさせない作りになっています。
長々と苦言を呈してしまうのは、振り返って考えていても推理フェイズが秀逸だからです。
集めたいくつもの手がかりカードを、何度となく見返すことで、新しい発想が宿り、見えていなかった物語がじょじょに浮かび上がってくるのは大きな快感です。
そう、推理フェイズは、抜群に面白いのです。
だからこそ、冗長としか言いようのない捜査フェイズが残念でなりません……。
一緒に遊んだぺこらさんとの対談
終わりに
まだ、すべての事件を遊び終えたわけではないので、もう少し続けますが、果たして事件12まで気力が持つかどうか……。