雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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名探偵は短時間で推理する、解決までの時間を競う協力型推理ゲーム『ポケット・ディテクティヴ』の感想


 エッセンシュピール2019の新作『Pocket Detective(ポケット ディテクティブ)』を遊びました。
 Yury Yamshchikovによる、1~6人用の協力型推理ゲームです。

ゲームの概要

 完全協力型の推理ゲームです
 プレイヤー全員で議論しつつカードをめくり、殺人事件の犯人を推理するというカードゲームです。
 箱の正面には記載がありませんが「シーズン1 ケース1」と記載があるので、死ぬほどシリーズ展開するのだろうなという構想が、なんとなく透けて見えます。

ゲームのシステム


 ゲームブックをカードゲーム化した、と言えば伝わりますでしょうか
 探索したい場所が数字で示されるので、該当する番号のカードをめくったり、選択肢の末尾に数字が書かれており、該当する番号のカードをめくることで、証拠品の調査ができたり、証人に尋問できたりします。
 犯人が分かった。
 そう確信したら、いつでも推理を披露した上で、正解カードをめくり、正否の判定ができます。仕組み上、1回しかプレイできないゲームと言えます。
 システム的には時計マークとライフマークがあり、時間やライフを消費すればするほど点数が下がっていくので、最小限のカードめくりで推理し、犯人を的中することが求められます

ゲームの感想

 手前味噌で恐縮ですが、システム的には秋山のデザインした『修道院はどこに消えた?』に近しいところがあると感じました。
 ただ、ゲームの重さで言えば、こちらの方が格段に重いと言えるでしょう。実際、秋山がプレイに要した時間は、2時間です。かなりじっくりと議論し、慎重に慎重を重ねた推理をしました。
 しかし、面白かったかどうか問われると、素直には頷けないところです。
 とにかく判定が厳しいんですよね。
 ゲーム開始直後、プレイヤーは、ほとんど情報を持ってないので、とりあえずやみくもに調査せざるを得ないのですが、その過程でどんどん時間が削られていくのがしんどいです。しかも、時間をかけて証人を問い詰めた結果、その証人が犯人でないことだけが分かったときは、正直、徒労を覚えました……。
 結果的に犯人を外したのも一因かもしれません。
 なるほど、すべてのカードをめくり、事件を隅々まで確認し終えた後は、なるほどと納得しましたが、これをスムーズに解決するのは至難ではないでしょうか……。

一緒に遊んだぺこらさんの感想

予想したより、面白くなかったね

お! いきなり、バッサリ斬ったね!

ごめん、言い過ぎた。ええと、期待外れ?

フォローになってないよ!

期待しすぎちゃったんだよ。ほら、『シャーロック』が面白かったからさ。ゲームシステムは良かったと思うけれど、結局、納得感がなかったんだよね。真相に対する

おおむね同意見だよ

推理ゲームは、ここに尽きるよね。システムは、大なり小なり違って、どれも悪くないけれど、真相に納得できるかできないか。できたら良い作品だし、できなかったらそうでもない。解けるか解けないかじゃないんだよ。解けなくても、納得感があれば、いいんだよ! その考え、確かにありうるーって思いたいの

分かるよ……

まあ、でも我々、いろんな可能性を検討する方だと思うんだよね

2時間じっくり考えたよね

でも、それでも思い至らなかったからねえ

まあ、そういうこともあるよ

終わりに

 少々、苦言を呈してしまいましたが、ゲームシステム自体は、非常に優れているなと感じました
 推理ゲームは、ここが難しいところですよね。いくらシステムが素晴らしくとも、ミステリーとしての出来によって評価が左右されてしまいます。また、言語依存が非常に高いのも厄介なところで、難しい言い回しが多いと、そこで疲れてしまい、ゲームの本質に辿り着けません。
 もっとも輝く原石のような魅力は感じたので、シーズン1のケース2なのか、シーズン2のケース1になるのかは分かりませんが、続編に期待です!

【2022年6月24日追記】アークライト社から完全日本語版が発売

 昨日、アークライト社から完全日本語版の発売がお知らせされました。
 発売日は7月28日、シリーズ第1弾から第3弾を、ひとつの箱にセットにしての販売の様子です。第2弾と第3弾は未プレイなので、発売が楽しみですね!