デヴィッド・シキュレルによるボードゲーム『クロニクル・オブ・クライム』を遊びました。
1人から4人で遊べる協力型の推理ゲームです。
ゲームの概要
プレイヤーはロンドン警視庁(スコットランドヤード)の一員となり、事件を捜査し、解決することを目指します。
スマートフォンアプリを用い、現場検証を行い、証人への聞き込み、物的証拠に対して科学的捜査を行い、推理を重ねます。見事、犯人を逮捕することができればゲームクリアです。
日本語版には7本のシナリオが収録されています。
ゲームの感想
激烈に面白かったです。
協力型の推理ゲームの中ではベストと言わざるをえません、まごうことのない最高傑作です。
海外の推理ゲームを見ていると、No.1として扱われているのは本格色の強い『ディテクティヴ』であり、QRコードやVRグラス等、今風の要素を取り込んでいる『クロニクル・オブ・クライム』はちょっと違うような感覚を抱いていました。
しかし、最初のシナリオを遊びはじめて、すぐに食わず嫌いであることが分かりました。
本作は頭ひとつ抜けた斬新さと完成度を誇っています。
素晴らしさを一言にまとめると豊富な選択肢、ひいてはそこから発生する自由度の高さでしょう。
本作の特徴として、スマートフォンアプリを用いた現場検証が挙げられます。
VRゴーグルを用いて立体的に見ることもできますが、上下左右に動かせる画像として見ても構いません。そうして視覚的に得られた情報を元に、つぎに現場で発見したものを、カードの山札から探し出し、アプリに読み込ませながら盤面に移していきます。
たとえば現場検証の際、テーブルの上に走り書きがされたメモ帳を目視したとします。そしてカードの山札を見てみると「紙」という文字とQRコードが印字されたカードが見つかるわけですが、このQRコードをアプリに読み込ませると「君はテーブルの上に置かれた遺書を見つけた」みたいなメッセージが表示されるのです。
この瞬間「紙」というカードは、このシナリオにおいては「遺書」として扱われ、犯罪学者に見せれば被害者の心理状況に関する見解を述べてくれたり、容疑者に突きつける物証として活用することができるようになるのです。
事件関係者へは、現場に残された証拠品について聞き込みすることもできますし、他の人物に関するコメントも貰うことができます。
シナリオごとに、現場からは10以上の証拠品が見つかり、容疑者や証人など事件関係者も10人以上、登場します。
移動や聞き込みを行うたびに、アプリ内では時間が進み、特定の時間を迎えるとイベントが発生したり、新たな事件が発生するなど状況が変化します。
あまりに多くのできることに溺れながらも、なんとか最短ルートで真相を解き明かし、犯人逮捕に到れるよう駆け抜けるためには、どうすればいいのか?
選び尽くせないほどの選択肢のなかで、自由に最適解を求め続けるのが非常に楽しいゲームです。
日本語版に収録されていた計7シナリオを遊び尽くすのに要した時間は、計6時間。成績的には129点、113点、65点、90点、79点、100点、77点でした。
ほんとうに楽しくて至福の時間でした。
終わりに
本作は2018年のロンドンを舞台としたシリーズの第1弾です。
続編として1950年代のロサンゼルスを舞台とした『CHRONICLES OF CRIME: NOIR』と、1980年代のアメリカの片田舎を舞台としたファミリー向けの『CHRONICLES OF CRIME: WELCOME TO REDVIEW』がリリース済みです。
また、ミレニアム3部作として『Chronicles of Crime: 1400』、『Chronicles of Crime: 1900』、『Chronicles of Crime: 2400』も発売されています。それぞれ1400年代の中世パリ、1900年代の近代パリ、そして2400年代というアンドロイドが闊歩するSF的なパリが舞台となっています。それぞれの主人公の名字は、ぜんぶ同じらしいので血がつながっていると考えられます。1000年(ミレニアム)という時の流れを越えて、どのような物語が紡がれるのか気になりますね。
日本語版! 発売されますように……!!