雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ボードゲーム『ワトソン&ホームズ』の感想

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 ヘスス・トーレス・カストロによる推理系のボードゲーム『ワトソン&ホームズ』を遊びました。
 ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 ワトソンが残したシャーロック・ホームズの13の未発表事件をゲーム化した、という設定の推理ゲームです
 全13のシナリオが収録されており、ネタが分かってしまったら二度と遊べないという観点において一度限りのゲームと言えます。

ゲームの感想

 全13シナリオを完走しましたが、クリアに要した時間は10時間です。
 ぺこらさんとふたりで遊んだのですが、2人プレイですと、お互いを邪魔するメリットが少なく、どちらかと言うと邪魔しあうより、より早く解き明かすために、むしろ協力的な姿勢で臨んだ節すらあります。
 多人数で遊んだ場合、各シナリオのプレイ時間は1時間~1時間半くらいになるでしょうから、全シナリオクリアには相応の時間が見込まれます。


 激烈に面白かったです
 各シナリオには12枚から16枚程度の場所カードが用意されており、裏向きにされた場所カードをめくりながら情報を集め、そこに書かれた多量のテキストを読み込み、情報を頭のなかで整理したり組み合わせたりして、真相を解き明かす必要があります。
 かなり高度な思考を求められ、この手の推理ゲームが好きなプレイヤーであれば、喜んで全シナリオに臨みそうですが、そうでないプレイヤーは1作か2作ほど遊んだら「もう分かった、もう充分」と放り投げてしまいそうと感じました


 リリースは2015年なので、6年前のゲームですが、やや古く感じました。
 ドイツにおける謎解き系のボードゲームのさきがけが『EXIT』(2016年)であることを考えると、本作はかなり時代を先取りしていたと考えられます。
 ただ、当時を考えると、今以上に、一度しか遊べないゲームに対する風当たりが強く、また協力型の推理ゲームという概念が広まっていなかったことでしょう。
 プレイ時間が1時間以上のシナリオが13作も入っている豪華さや、プレイヤー同士の競争要素など、今だったら考えられません。


 推理ゲームとしての面白さですが、さすがホビージャパンが日本語版のリリースを決断しただけあって折り紙付きです。
 個人的に、いちばん好きなのは「事件9:占い盤は語る」です。残された手がかりや証言から、事件当日に起こったことを考えるとあまりに衝撃的で、思わず震えました。
 後は、なんと言っても最後の「事件13:焼け焦げた石」でしょう。本作に収録されている事件は難易度1~3で分類されており、事件11から先は難易度3ですが、正直、このシナリオに関しては難易度4もしくは難易度5でも良いのではと感じました。事件12までは、合っているか間違っているかはさておき「おそらく犯人は○○、凶器は○○、動機は○○」とひととおり答えを導けたのですが、この事件13だけはお手上げでした。しかし、繰り返し、カードを読み返し、考え方を変えつつ向き合ったときに、たったひとつの真実が浮かび上がってきて……ええ、傑作でした。
 現代日本人の感性からすると、ちょっとピンと来ないシナリオもいくつかありましたが、大半は水準以上の出来なので、安心して遊んでいただいて大丈夫です。

終わりに

 本作は箱に「1」とプリントされており、シリーズ物の1作であることが分かります。残念ながら今日時点で第2作は未発売となります。
 原作のパブリッシャーであるLudonova社の発表を見ると、2022年発売予定とのことで、日本語版のリリースはそれ以降と察せられます。今から楽しみですね。