前々から遊びたいと思っていた推理系のボードゲーム『厄介なゲストたち(Awkward Guests)』を遊びました。
1人から8人用のボードゲームです。
ゲームの概要
いわゆる『クルード』に代表される数字当て系の推理ゲームです。
従来の『ジジ抜き』的なメカニクスを持つ推理ゲームと異なり、シナリオごとに犯人・動機・凶器・共犯者・共犯者の動機が設定されており、それらを当てることが目的です。
シナリオが用意されていると言ってもストーリー要素はなく、単にカードの組み合わせが指示されているだけです。シナリオの総数は100以上なので、1回のプレイに1時間要することを考えると、ほぼ無限に遊べると言っても過言ではありません。
同様のメカニクスでは『ザ・キー』(2020)が連想されますが、本作の発表は2016年なので、こちらの方がはるかに早いですね。
ゲームの感想
最初は圧倒的な情報量に戸惑いました。
容疑者は真実を言っているかもしれないし、虚偽の証言をしているかもしれない、そして犯人でなくとも嘘をつく可能性がある。共犯者はいるかもしれないし、いないかもしれない。
真偽を疑いつづけなければならない証言カードだけでなく、証拠カードも「あくまで状況証拠」とのことで、正しいかどうかは分からない。
唯一、信用できるのは警察もしくは使用人の証言で、それらは完全に真実であるとのことで、手元にやってくると大きな安心感に包まれました。
情報交換はプレイヤー間の交渉となっており「これに関する情報を求めている」と手番プレイヤーが発言すると、他プレイヤーは順々に該当情報を持っていれば提示し、その情報の価値に合わせてカードを交換していきます。
このとき、カードの交換はMustではなくMayとなります。従って「この情報は伏せておきたいな」と思ったら「その情報は持っていません」あるいは「その情報は持っていますけれど、提示したくありません」と拒否しても問題ない。
この交渉が、また難易度に拍車を掛けています。
とは言え、情報を得ないわけには、ゲームは永遠に終わらないので、ゲームの中盤までは意欲的に情報提供に務めました。
情報交換がスムーズに行けば、手番外でもどんどん情報が集まりますし、最初は「どうメモを取ればいいかも分からない」と困惑していたのですが、カードをよく見ると「こうやってメモを取っておくといいよ!」というヒントが書いてあることに気づき、それに従い始めてからは、劇的に情報を整理しやすくなりました。
そんな感じでゲーム開始から1時間もしくは1時間半くらいまでは「面白い」や「傑作では?」と言いながらプレイしていたのですが、ラスト30分は「苦しい」や「もう止めたい」と弱音しか出ませんでした。
と言うのも、すべての情報を潰して、最後に残ったたったひとつの可能性が真相だと確信して、犯人当てに挑戦したら見事に外してしまったのです(アプリに記入して、間違いだった場合は、その旨だけを知らせてくれるのでプレイを続行できる)。
凄まじい絶望感を覚えながら、メモを見返しているうちに「状況証拠が真実とは限らない」という事実を思い出し、気持ちが一気に沈みました。
5人が5人とも1回ずつ推理を外し、わたしに至っては2回も推理を外し、協議のうえゲームを終了し、答えを確認したら思わず脱力しました。
信じがたいことに推理の頼りにしていた5枚中4枚の状況証拠が誤情報で、疑っていた1枚の状況証拠だけが真実で、真犯人と共犯者をそっくりそのままひっくり返したものが真相でした。正直「そりゃないわ」という感じです……。
と言うわけで、初回のプレイとしては、残念な結果となりましたが、ゲーム自体は、とても高く評価できます。
冒頭に書いた通り、100以上の真相が用意されているので、完全記憶能力の所有者でなければ実質無限に遊ぶことができます。情報交換のメカニクスは、やや煩雑ですが、情報が少しずつ集まってくる過程は、面白いの一言です。
おしむらくは真相の納得度の低さでしょうか。ですが、100もシナリオがあれば、不出来なものがいくつか混じっている可能性は充分にありうるので、今回、ババを引いただけかもしれません。
終わりに
今回は、丁寧に日本語化されたものを遊ばせていただいたので、非常にプレイアビリティが高かったです。
なかなか遊ぶ機会が限られるかもしれませんが、見るべきところが多いデザインですので、推理ゲーム好きな方は、ぜひ遊んでみてください。