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ボードゲーム『ディテクティヴ:シーズン1』の感想

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 イグナチー・チェヴィチェクによる推理ゲーム『ディテクティヴ:シーズン1』を遊びました。
 ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 本作『ディテクティヴ:シーズン1』は、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされ、BGGのランキングでも157位と人気の高い『Detective: A Modern Crime Board Game』のシステムを元に、入門用に新たに作られた推理ゲームです
『Detective: A Modern Crime Board Game』は2018年にリリースされた作品で、わたしはエッセン・シュピールで見たときから気になっていました。



 翌年、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされたときは、本気でワクワクし、受賞を願いました。
 残念ながら、受賞したのは『ウィングスパン』でしたが、いまでも充分に可能性があったのではとわりと信じています。



 と言うわけで『Detective: A Modern Crime Board Game』の日本語版を、長らく待ち望んでいましたが、先んじて日本語版がリリースされたのは、入門用の『ディテクティヴ:シーズン1』。
 ちょっと残念に思わないでもないですが、それでも、ありがたい限りです。現在『ディテクティヴ』シリーズは、順調に作品数を増やしているので、この調子で、どんどん日本語化が進めばと願う限りです。

ゲームの感想

 ここから、ゲームの感想に入っていきますが、軽度のネタバレに抵触するような気がするので、未プレイの方には、ここでいったん読むのを止めて、遊んでから戻ってくることを推奨させていただきます。


 さて。


 おそらく日本で五本の指に入るくらい本作を待ち望んでいたのでは? と思うのですが、ほんとうに期待大で着手してしまい、ちょっと我ながら期待値が高すぎたかもしれません。
 収録されているのは「自然死なるや?」「血とインクと涙」「崩せぬアリバイ」の計3シナリオ。
 クリアに要した時間は、それぞれ2時間40分、1時間20分、1時間20分なので計5時間20分となります
 この時間を見て分かるかもしれませんが、第1シナリオの「自然死なるや?」だけ、他2作と比較して、ちょうど2倍の時間が掛かっていることが分かります。そう、これは、ほんとうに偶然で「すごいなあ」と思ったのですが、実は第1シナリオだけは1発クリアができず、2回、遊んだのです。
 つまり、まさにワンプレイ1時間20分のデザインがされているわけで、このバランス調整は絶妙だなと感じました。きっと何度もテストプレイを重ね、このプレイ時間に落ち着くようにディベロップメントを重ねたのでしょう。


 本作は完全なるアナログゲームではなく、情報を検索し、動画や音声等のデジタルな資料を参照できるデータベースが用意されています。プレイヤーは手元にカードを読むだけでなく、インターネットにアクセスし、データベースを操作し、そこから得られる情報も推理に加える必要があります。
 答え合わせに関しては、このデータベース上で可能なため、推理を外したとしても、真相が明かされることはなく、もう一度、挑戦することができるのです


 と言うわけで、第1シナリオ「自然死なるや?」において0点を得て、惨敗を喫した私は、即座に2回目のプレイに着手することを決めました。
 2回目のプレイングにおいては、前回と異なる場所を捜査しようと思ったのですが、いやはや驚きました。1回目のプレイングにおいては、欠片も登場しなかったキーワードが出てきたり、初登場のキャラクターまでいました。捜査する場所が異なるだけで、こんなにもゲーム展開が激変するのかと驚きつつも、ふつうに推理し、ふつうに回答したところ、見事、満点を獲得することができました。


 その後、第2シナリオ「血とインクと涙」と第3シナリオ「崩せぬアリバイ」も、それぞれ一発で満点を獲得してクリアできました。
 推理ゲームとして、クォリティは極上の一言
 情報を入手するために時間リソースが求められ、すべての情報を獲得することができないという楽しいゲーム性もあって、非常に良い体験ができました。


 ただ「自然死なるや?」だけは、振り返ると首を傾げてしまいます。
 上述した通り、1回目のプレイングにおいて、あるルートを選ばなかったが故に、真犯人に迫る手段を圧倒的に逃したのです。
 本作は、複数回の挑戦をルール的に拒んでいないので、問題はないのですが、それでも欠片も見いだせなかったのは……やや胸にモヤモヤが残ります。


 メカニクス的には、時間リソースを使用してカードをめくって情報を集めるという点において『Pocket Detective』に近しいものを感じました。
 ただ、リリース年を考えると『Pocket Detective』の方が後なので、『Detective』を遊んで面白かったので、そのシンプル版を作ってみた……と感じ取れなくもないです。

あわせて読みたい

 わたしはnoteで『推理ゲームふるあた』という記事を連載しているのですが、その第3回において『ディテクティヴ』を、けっこうがっつり取り上げています。
 100円の有料記事となりますが、ご興味のある方は、ぜひご購読ください。

終わりに

 2年半も遊びたいと思い続けていたゲームだったので、プレイできて感動もひとしおです。
 アークライトさんには、ぜひ他作品の日本語化も、伏してお願いしたい次第です。