雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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2021年に遊んで面白かったボードゲーム・ベスト10

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 皆さん、こんにちは。秋山です。
 毎年恒例、その年に遊んだボードゲームの中から特に面白かった10作を選ぶ! のコーナーです。

ベスト10について

 2021年は計131作のボードゲームを遊びました。
 その中から特に面白かった10作を紹介させていただきます
 特に順番はつけず、遊んだ順です。

ミクロマクロクライムシティ


 最初のご紹介は2020年末に発売された、完全協力型の推理ゲーム『ミクロマクロクライムシティ』です。
『ウォーリーをさがせ』が如く、精緻に描き込まれたクライムシティの街並みを睨みながら、犯行をつまびらかにしていくのが目的ですが、デザインとして優れているのは、複数の時間軸が一枚の絵のなかに同時に描かれていることです。
『ウォーリーをさがせ』の場合、ある一瞬が切り取られているので、当たり前ですがウォーリーは1箇所にしかいませんし、ひとりしか存在しません。しかし、本作の場合、ある人物の過去/現在/未来が1枚の絵に同時に描かれているので、たとえばある場所で犯行を犯している瞬間が描かれる一方で、犯人がそこに辿り着くまでの経緯も描かれていますし、そこから逃走した先まで描かれています。
 推理ゲームは連続した物語の文脈を追って、抜け落ちた因果関係すなわち真相を解き明かすのが面白さのポイントですが、このゲームは、まさにその面白さを具現化しているのです。
 変則的ではありますが、推理ゲームのエッセンスが味わえるという点において、高く評価して、広くオススメしたいゲームです。

TWO ROOMS


 2021年はYUTRIOさんという新進気鋭のデザイナーが羽ばたいた年として、後世に語り継がれることでしょう。
『TWO ROOMS』は2人用の協力ゲームですが、片方の手番中、もう片方は目を瞑るというメカニクスが非常に革新的でした。本作は後にJELLY JELLY GAMESから商業版がリリースされますが、納得です。
 YUTRIOさんの第2作『CARTA MARINA』と『HAMELN CAVE』もそれぞれに素晴らしく、今後の活躍から目を離せません。

Dr.STONE ボードゲーム 千空と文明の灯


 体験感、という点において他の追随を許さない、従来のボードゲームの文脈からすると規格外の作品です。
『Dr.STONE ボードゲーム』は一度、遊んでしまうとネタが分かってしまうので、二度は遊べませんし、死に覚えゲー的な側面もあります。そもそも原作ファンかどうかが問われ、かなりハードルが高くはあるのですが、非常に高い完成度でまとまっており、何よりも原作再現度という観点では最高の一言です。
『文絵のために』を手掛けたデザイナー・カナイセイジさんの新境地であるとも感じました。

マグノリア

 このデザインには、ほんとうに舌を巻きました
『マグノリア』はI was Gameの上杉さんによる、自身が手掛けた『ペーパーテイルズ(ヴォーパルス)』を、もっとシンプルになるようにデザインされた新作です。原点となる作品の面白さを損なうことなく、その妙味がプレイ時間15分に凝縮されているという、まさに奇跡のデザインです。
 しかも、シンプルでありながら、繰り返しのプレイに耐えうる……いえ、むしろ何度も遊びたくなってしまうデザインになっているのが素晴らしいです。職人芸のようなデザインの粋、堪能させていただきました。

The Search for Planet X


 消去法的に答えを導き出していく『クルード』に端を発する推理ゲームの、ひとつの到達点であると感じました。
 ランダム性を排除し、答えを決めることによって、たとえば『ザ・キー』シリーズは、一定の面白さを確約することに成功しました。しかし、こと難易度という観点においては、ひとつのゲーム内で決め打ちとなってしまっています。
 本作『The Search for Planet X』は、スマートフォンアプリを用いることによって、その点を解消させた傑作です。日本語版のリリースが待たれます。

Detective: City of Angels


 物語要素を持ち、文脈を推理させることに重きを置いた推理ゲームは『ディテクティブ』然り、『クロニクルオブクライム』然り、『Qシャーロック』然り、大半が協力型でした。
 そもそも物語を読み解かせるタイプの推理型ゲームに、競争要素は入れにくいものです。しかし本作『Detective: City of Angels』は、非常にエレガントにその課題を解決しています。まだ、チュートリアルとも言える第1シナリオしかクリアしていませんが、優れたシステム、世界観の奥深さを窺い知るには充分です。言語の壁は高いですし、ほぼGM必須のため、遊ぶ環境の入手も大変ですが、いずれクリアしたいなと思っています。トップの画像にも採用しましたが、2021年に遊んだボードゲームのなかでいちばん面白かったです

カンタループ 刑務所入獄


 総当り系ADVゲームを、極めて忠実にアナログゲーム化した怪作です。
 はっきり言って遊んでいる最中に目新しさは皆無でした。むしろ、古き良きADVゲームたちが持っていた理不尽さやメタ的な言及などの「あるある」が、見事にアナログの世界でも再現されているのを見て、ある種の懐かしさを感じたくらいです。
 このご時勢にこれをやったことを評価したいと言うか、このゲームを楽しんで遊べる層が育ってきたと言うか、そういう諸々を鑑みて、2021年に本作がリリースされたことを、きちんと自覚しておきたい一作です。

7Wonders: Architects(世界の七不思議:建築家たち)


 世界中で愛されている『7Wonders』をデザイナーのボザ自らのリメイク!
 在り方という観点では『マグノリア』と非常に近しいと感じています。こちらも、今となっては複雑で重くなってしまったドラフトゲームの『7Wonders』を、デザイナー自らが今風にリデザインしてという観点で素晴らしいと捉えています。
 時代時代に即したサイズ感で、自身のゲームを認識できるのは、ほんとうに感服です。

オルカコール


 2人用協力ゲームの新たなる傑作です。
 手札が存在する協力ゲームの場合「どこまで情報共有していいか?」が重要なポイントになり、厳密なプレイを求めると難易度が激しく変化し、デザイナが意図していない難しさになる可能性があります。
 その点、このゲームは、プレイ中の会話は禁止となっており、出したカードでのみメッセージを伝え合うことが可能となります。どこまでお互いの思考を寄せ合うことができるかという点において、実は推理ゲームなのではないかとも感じます。非常に奥深いです。

サーオボロス


 最後は倦怠の新澤大樹さんの新作です。『マスクメン』、『セブンセグメントトリックス』、『ジンバブエトリック』等々、様々な傑作を世に出してきた新澤さんは、現代日本の優れたゲームデザイナのひとりですが、本作『サーオボロス』は震えるほどの傑作です。
 メインとなるメカニクスは競りゲーですが、コールをしてチップを乗せない限りカードを得点化することができず、いくらで値付けを行うかという点において、非常に高度かつ嫌らしい駆け引きを強いられます。難易度は高めで、計算せずにプレイすると、途中で事実上、ゲームから脱落する危うさも秘めています。「我こそは腕に覚えあり!」という方にこそ遊んでいただきたいですね。

終わりに

 いかがでしたでしょうか?
 2021年はコロナ禍ということもあって、3人以上よりも2人で遊ぶ機会の方が圧倒的に多く、例年よりも2人用ゲームが豊作だった印象です。
 今年も素晴らしい作品に出会えますように!