シリーズ24作目にして、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じた4番目の作品『007 スペクター』を見ました。
ネタバレありで感想を書きます。
宿敵との対決
ル・シッフル、グリーン、シルヴァ……今までに対決してきた敵を束ねる組織スペクターの首領、フランツ・オーベルハウザーが今回の敵。
その正体は、幼少期のボンドの後見人であった男ハンスの息子。
つまり、ボンドの義理の兄。
……え? そんなのあり??
正直、途中まで冗談かと思っていました。
なにかの間違いかと。
だって、ここに至るまでの間、ジェームズ・ボンドは何者でもなかったはずです。ただ、007に最適な、身寄りのない、どこにでもいる、あるいはどこにもいない、ただひとりの男でした。
それが、まさかスペクター首領の座につく男の対極に位置していたとは……。
シルヴァとの違い
前作『007 スカイフォール』も、対極的な存在との対決でした。
しかし、それは同じMという上司を持ち、危地に送り込まれ、見捨てられたことがあるという経験を持っているだけが共通点で、そこに出自や由縁は関係しません。
今回の敵は、まさに生まれ……ではなく育ちに起因しているわけで、シルヴァとは、まるで意味が違います。
うーん……。
良かったところ
大枠ではしっくり来ませんでしたが、細部は過去最高に良かったような気もします。
まずは冒頭の派手なシーン。このシリーズは、毎回、掴みに死ぬほど力を入れている気がしますが、今回のメキシコシティは特にすごかったですね。
死者の日に湧く街並みを眼下に、屋根伝いに歩きながら狙撃銃を組み立てていく長回しは、思わず2回、見てしまいました。
その後、群衆を見据えながら飛び回るヘリコプターも凄まじかったです。
ミスター・ホワイトの死は、けっこう哀愁を感じました。
『カジノ・ロワイヤル』の最後で、這いつくばるホワイトに対し「ボンド、ジェームズ・ボンド」と名乗った日を懐かしく感じます。
砂漠のど真ん中に建設されたオーベルハウザーの秘密基地、そして旧MI6本部を惜しげもなく爆破していくのは圧巻でしたね。
シリーズの終わりを感じさせます。
また、結末において、オーベルハウザーを追い詰めながらもとどめを刺すことなく、マドレーヌの手を取って去っていくのは衝撃でした。今まで何人もの命を無慈悲に刈り取っていた007が、最後、オーベルハウザーの命を奪わないとは……。。
これが、並の作品であれば「甘い」だとか「油断」みたいな評価に繋がるのですが、こと007に至っては、そういう次元ではないなと感じます。
終わりに
こうして振り返ってみると、良かったところの多い作品ですね。
さて、次は、いよいよ次は『ノー・タイム・トゥ・ダイ』です。映画館で見ます!