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AIと人間の対話を描いたアニメ映画『アイの歌声を聴かせて』の感想(ネタバレなし)

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『イヴの時間』や『サカサマのパテマ』を手掛けてきた吉浦康裕監督による最新作『アイの歌声を聴かせて』を見ました。
 非常に素晴らしい作品だったので感想を書きます。
 尚、より多くの方に見ていただきたい傑作なのでネタバレには配慮します。雰囲気バレはご容赦ください。

作品の概要

 景部市という架空の町を舞台とした近未来SF
 スマートシティの実験を行なっており、町内のインフラはAIによって管理されている。主人公のシオンは、そんな町に暮らす少女で、ある日、彼女の元にAIを搭載した女子学生型アンドロイドがやってくるところから青春群像劇が幕を開ける。

視聴のきっかけ

 予告編のPVで、土屋太鳳『Lead Your Partner』を聞いた瞬間に電流が走りました。

 軽快なジャズ風のBGMかと思いきや、アニメ内のキャラが歌い出すのを見て、


アニメでミュージカル!?


 と、一気に興味を惹かれました。

日本アニメ+ミュージカルという新ジャンル

 イマーシブシアターから演劇に逆流して、あらゆる演劇的なるものを興味深く、楽しませていただいている最中ですが、感情を歌と音楽とに乗せるミュージカルは、もう少し学んでみたいと思っているジャンルのひとつです。
 演劇に端を発するミュージカルですが、すぐに映画へと導入され、さらにディズニーのアニメ映画の多くではミュージカル要素が取り入れられています。


 日本アニメという観点では、ミュージカル要素を本格的に取り入れられている作品は、あまり見受けられません
 敢えて言うと『アイドルマスター』や『ラブライブ』等のアイドル物においてライブシーンが描かれますが、ミュージカルとは少し趣きが異なります。
 想像で書きますが『サクラ大戦』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』、『かげきしょうじょ!!』のアニメやOVAには、ミュージカル的なシーンがあるかもしれません。
 果たして、日本アニメがミュージカルにどう向き合うのか、そういう興味をもって視聴を決めました

青春+群像劇+SF

 オムニバス形式で近未来におけるアンドロイドの課題を、様々な側面から描いた『イヴの時間』のように、本作の前半は少年少女たちの青春を群像劇的に描き出しています
 恋人同士の不和や試合で勝てないという若者らしい苦悩を打ち出しながら、それを人間の心を解さないAIが直線的に解決していこうとします。
 ここでは「言葉にしなくても分かるでしょ」といった感情を心に秘めがちな人間と「どうしたら幸せになるの?」となんでもかんでもオープンしないと分からないAIという対比が面白いです。


 後半は打って変わってサスペンスとSF色の強い展開になります。
 ここで様々な真実が明かされていくのですが、その真実を踏まえて、主人公たち人間がどのような決断を下すのか──が見どころになります。

サントラを買いました

 劇中歌はどれも良かったのですが、やっぱりいちばんはPVでわたしの心を射止めた『Lead Your Partner』ですね。
 もっと集中して聞きたかったのでサントラを買いました
 映画のサントラを買ったのなんて、何年ぶりでしょうか……CDプレイヤーも手放して久しいので、ブルーレイレコーダーで聞いていますが、何十時間でも聞いていられますね。

終わりに

 ミュージカルをきっかけに見たので、それを主題に感想を書いてしまいましたが、あまり気負わずに、素晴らしいアニメ映画として見ていただければと幸いです。
 オススメです!