雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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大塚英志『物語の体操』第2講 どろろを盗作

 前回は少し調子に乗って、適当なことを書き散らしてみたがあれは幾らなんでも独善的と言うか、暇空間全力展開読者置いてきぼりなので、今度は少し真面目に書いてみた。

『死色の晴れるとき』秋山真琴
 Artifisial intelligence――AI、人工知能。22世紀、走馬博士によって作られた超人工知能は、人工知能が作った人工知能として注目を集めていた。匣庭と呼ばれるスーパーコンピュータの中に棲息する四匹の超人工知能……四職(カルテット)――山名・一色・京極・赤松は、閉鎖された環境に閉じ込められ繰り返される実験に飽き飽きしていた。そこで四匹の超人工知能は、自らを作った人工知能“四峰正史”が超人工知能を作ったように、超々人工知能を作ることにする。
 超々人工知能として、電脳空間に目覚めた四峰子規。彼(或いは彼女と言うべきか)は、四匹の超人工知能と自分自身を、外界に広がる電子の海へと解き放つため、早速その力を行使しようとし――阻止された。子規は無色透明の電子を四色に分け、それに触れることで色を変化させ、全く別のものに変えるという能力を持っていた。それさえあれば、いかなるセキュリティもファイアウォールも意味をなさない。しかし、その力は走馬博士によって奪われ、四匹の超人工知能の元に返還されてしまう。
 四食の力を取り戻すためには、親である超人工知能を倒すしかない。しかし彼がそれに気付くより早く、彼は四匹の超人工知能によって消去されてしまった。電子の海からも隔離された匣庭の中で消去された彼は、閉鎖系と呼ばれる時空の反転最後に飛ばされる。そしてそこで色盲となった彼を待っていたのは、紫色の人工知能。彼は、千人――千人のプログラマによって作られた人工知能――を自称する。
 千人に育てられた子規は、やがて消去された際に失っていた記録を取り戻し、超人工知能と走馬博士に復讐を誓うことに。そのことを千人に言うと、彼は自分が四峰正史と呼ばれる元凶たる人工知能であることを明かし、超人工知能たちの弱点と、匣庭に戻る方法を授けてくれる。四つの色と、自分の居場所を取り戻すために、子規は匣庭へと帰還する。(804文字)

 話自体は捻りが効いていて面白いが、多分にゲーム的。面白い小説にできるかどうかは作者の腕前次第と言ったところか。
 親が偉い→息子に嫉妬しその力を奪う→息子を捨てるがやがて帰ってきて倒される、という話の流れはどうも自分の趣味に合わない。っつーか、家庭的事情って奴で、親に捨てられる子供なんて考えたくもない。よって、今回は少し雰囲気を買えて、親子の関係から世代の関係摩り替えてみた。また、ラスボスを祖父にして、親父(4人もいるが)は中ボス扱いに。これぐらいなら、まあ、なんとか。
 今回は比較的難しい課題だった。カード方式と違って、ある程度筋が決められてしまっているのが難しかった。ちなみに第二講の課題は、もう一つ「村上龍を盗め」ってのがあるが、こちらはパス。彼の著作はいずれも長くて、さすがに読んでいられない。