雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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閉ざさせない金曜日

 漫然と日々を過ごしていくと、魂が錆びついて脳が腐り溶けるような錯覚に見舞われます。以前はそういった兆候を感じたら、仕事量を増やして、考える余裕を奪い去るという手法を取っていましたが、最近はどうも、それが一種の逃避ではないのかと悩んでいます。忙しさにかまけ、意味のない自己暗示を掛けている暇があるのならば、もっと心の中の闇を探るべきではないかと思うのです。秋山は今まで自身のことを、一般的常識的平均的な人間だと思っていました。いえ、勿論、今でもかなり信じてますが、周りの人にそれとなく聞いてみたら、秋山の考えている秋山像とは似ても似つかない印象を口にされ、えらく戸惑っています。仮に秋山のことを普通だと思っている人間が秋山だけだとしたとき、秋山はもっと自身のことを客観的に分析し、改めて評価し、そして新しい方法で己の魂を磨くべきではないかと思い当たったのです。そこで真剣になって自分自身について考えて見たとき、心の中に一種の闇があることに気付きました。闇と言っても、別段、誰かを殺したいとか、自殺したいとかの、負の感情を指しているわけではありません。むしろそんなのはあって当たり前です。誰だって一日に何十人かは他人を殺す空想をしているだろうし、その数十倍は自殺する空想をしているでしょう。秋山が発見したのは、つまり不透明な感情です。その闇に邪魔されて、自身の行動原理であるとか、存在意義であるとかが遮断されているのです。例えば「魂を磨く」と簡単に言っていますが、果たして何故、そんな面倒なことをしなければならないのか。今日のこの日記自体、どういった理由があって書き記しているのか。全くもって謎です。そしてそこに謎が、特に自身の内側にあるのならなおのこと、解かなければなりません。曖昧であることに終止符と、自身の存在に確固とした存在感を与えるために。――――もっとも、そのための具体的な手段が、皆目見当つきません。千里の道も一歩から、まずはその一歩の踏み出し方からです。