- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/11/01
- メディア: 文庫
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語り手の「わたし」こと岡村柊子は、アクセサリーショップに勤める二十六歳。友人の彦坂夏見の紹介で、京王線柴崎駅徒歩十五分、築二十五年の一戸建てに引っ越すことになる。
同居人の松江銀子は、大スター兼映画監督兼エッセイストの松江丈太郎を父に持つ、素っ頓狂なお嬢様。生活能力皆無の銀子にかわって家事全般を担当すれば家賃はタダという願ってもない好条件(ほとんか?)にとびついた「わたし」だが、玄関の下駄箱にはなぜかおばあさんの姿をした幽霊が……。
解説の大森望が過不足なく内容を紹介してくれていたので、つい引用してしまった。まあ、上記のような短編連作であった。日常の謎物。
読んでいながら思ったのは、語り手の性格がいいこと。語り口は若さを感じさせつつも穏やかで、非常にきれいなのだ。つまり、文章が上手い。どれぐらい上手いかと言うと、思わず宮部みゆきや北村薫の小説を読んでいるのだっけと首を傾げてしまうぐらい。ちょっと小説が好きな女性に「なにかお勧めの作品ある?」って聞かれたら、これは中々に相応しいかもしれない。表紙も可愛らしいし。