なんか、もう、超文フリから半年近い時間が経過していたことに、たった今、気がついて、光陰矢の如しと言うか、飛ぶ鳥を落とすと言うか、立つ鳥跡を濁さずと言うか、時間の流れの早さと無情さについて、一抹の憐憫を禁じえません。なんのこっちゃ。
と言うわけで、読んだ本も、まだ読んでない本もあるのですが、ぽつぽつ語ってみようと思います。いえ、語弊がありますね。新たに語るというわけではなく、読みながらその場その場でTwitterで呟いたり呟かなかったりしたのだ、特に呟いたものに関しては、Twilogから引っ張ってくる形で、ここに再掲しようと思います。140字のしばりがなくなるので、多少は内容に手を加えますけれど、だいたいは原文通りです。では、どうぞ。
牟礼鯨『オルカ』これは、わりかし好きな鯨さんの作風だなあと思いながら読んでいたら、99ページの一行でぐっと来た。こういう仕掛けは大好き。
ソウブンドウ『欠落少女コレクション』レトスさん好きそう、と言うのが第一印象の一冊。(考えてみれば……考えてみるまでもなく、タイトルからして、レトスさん好きそうだ)。藤あさや「自由意思」テーマとの一致度が高い、巻頭に相応しいゴシックな少女小説。母親の科白「あなたは違う」に安心して読んでいたので、最後は、ちょっと驚いた。覚醒した、ということなのであろう。七木香枝「爪先に、結んだリボンをひっかける」女性の、社会的地位の低さをテーマとしている。いかんともしがたもどかしさが苦しい。志保龍彦「銀鶏」本作が、収録作の中では、いちばん好きかな。天都と地都の二層構造に、銀鶏という両腕を持たない闘士に、その生に引かれる少女。すべての要素が好みで、そこから繰り広げられる物語もまた好みだった。サモト「みちる」これも好き。特に、空木が「現実が無味乾燥としているからこそ、彼の描く絵は満ち足りていて──」というくだりは、ゾクゾクした。最後は、ちょっと切なかったなあ……。空木春宵「感応グラン=ギニョル」傑作。やっていることの離れ業というか、挑んでいる領域としては、津原泰水「五色の舟」に匹敵する。特に、蘭子が無花果に溺れだしてからが圧巻。あの眩暈を覚えるばかりの濃度の高い幻想は、気が狂いそうになる。神尾アルミ「きみがいた月曜日」今までの神尾アルミでは、いちばん好き。「生き残っているほうが、生きよう」には泣きそうになった。最後を締めくくるのに最適な、切ない、素敵な作品。
近江舞子『影絵』素晴らしい、実に素晴らしい。今までに読んで近江舞子の中では、抜群にいちばん。傑作。「君がいる日々」の幻想や「魔法をかけて」の救済も良いけれど、やっぱり最後の「流星」のインパクトは随一。「流星」いわゆる書簡小説のひとつ。文通をしている男女の物語なんだけれど、最初に男の手紙をばばばっと書いて、次に女の手紙をばばばっと書くのが、非常に素敵。結末は、うすうす分かってはいたけれど、切なくて胸が締め付けられる。く、苦しい……。
文学結社猫発行、山本清風『ダウンタイムまで批評を1』固有名詞が多く、共感の小説だった。既存作品から小説へ昇華しているわけではなく、ほんとうに批評しているだけなので、取り上げられている作品を知らない秋山呆然。なんとか最後まで読んだけれど、けっこう辛かった。多分、続編が出ても買わない。後、電子書籍の特性を活かして、脚注が多いのは面白かったけれど、読書がぶつ切りにされて苦痛。『428』を体験版だけやって放り出してしまったことを思い出した。
高村暦『石璧の楽園』Twitterに感想は書いていませんでしたが既読です。牢屋の鉄格子越しのセックスとか、すごいです。
渋澤怜『渋澤怜副読本1(どうでも)いいね!』最初の一口は美味しいけれど、同じ濃さの料理を、連続して出されると満腹の巻。タイトルに著者名が入ってるあたり、業が深い。
以上。まだ読めてない本も多いので、隙を見ては読んでいかないとですね。あでゅー!