雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ボードゲームをデザインされる方にお願いしたい3つのこと

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 趣味はボードゲームな秋山です、こんにちは。
 一定の完成度を誇る海外のボードゲームも好きですが、アマチュアが個人で制作した国産ゲームも好んで遊びます。
 ここ数年、毎年100作以上の国産ゲームを遊ぶなかで、この条件を満たしてもらえると嬉しいなあと思ったものを紹介します

はじめに

 秋山は、作り手ではありません。
 ちょっと身内で遊ぶように、紙ペンゲームのルールを作ったり、トリックテイキングの基本が分かるシンプルなルールを考えたりはしますが、しっかりとデザインされたゲームを作ったりはしていません。
 従って、ここで紹介するのは作り手目線ではなく、あくまで遊び手目線であることをご留意ください。

お願いしたい3つのこと

 特に、もったいぶる必要もないので、表題に掲げた3つのことを、早速、紹介します!


(1)コンセプトが明らか
(2)ターゲットが明らか
(3)ルールが明らか


 以上です。

別にこれといってお願いしていないこと

 お願いしたいことについて深掘りする前に、別に、これといってお願いしていないことについてもスタンスを明確にしておきます。
 思いつくままに列記します。


・面白いこと
・新しいこと
・役立つこと
・安いこと
・見栄えが良いこと


 ここに掲げたものは、これと言って求めていません。
「え? 面白いゲームでなくて良いの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうが、その理由は後述します。

お願いしたいこと「コンセプトが明らか」

 それでは、当初のお題であるお願いしたいことについて、ひとつひとつ説明していきましょう。
 まずは、1つ目のコンセプトが明らかから。
 これはですね、是非、繰り返し立ち戻り、深く検討していただきたいですね。
 自分がどんなゲームを作りたいのか、ゲームの核となる概念を考え抜いて、きちんと優先順位をつけてください
 デザインを進めるうえで、ときに幾つかのコンセプトがぶつかりあい、矛盾を来たすこともあるでしょう。そんなときは、優先順位を参考に、冷静にメスを入れていっていただきたいです。
 たとえば「子どもや老人でも、皆でワイワイと楽しむ」というコンセプトに対し「ブラフを駆使して、ときには他プレイヤを蹴落とす」という要素は、その重さにもよりますが、ときに一致しません。
 察するに、作る側からすると、様々なアイデアを、あれもこれもと盛り込みたい気持ちになるのでしょう。しかし、そんなときほど、冷静に考え直していただきたいのです。何度でも基本となるコンセプトに立ち戻り、そのコンセプトにそぐわないアイデアや要素は「次のゲームに回そう」と、そっと削ぎ落としていただきたいのです
 コンセプトが明らかで、すべてのデザインがそのコンセプトに向かっているゲームほど良いなと感じます。

お願いしたいこと「ターゲットが明らか」

 次にお願いしたいこと、それはターゲット、すなわち想定しているプレイヤが明確であるということです
 ゲームに不慣れなひとに遊んでもらいたいのか、慣れているひとに遊んでもらいたいのか、2~3名の少人数で遊んでもらいたいのか、5~6名の大人数に遊んでもらいたいのか、自宅でじっくり遊んでもらいたいのか、ゲーム会でアイスブレイク的に遊んでもらいたいのか。
 ターゲットとシチュエーションを、意識していただければ幸いです。
 あるいはお願いしたいことの1つ目に掲げた「コンセプトが明らか」と、まったく同じことかもしれません。ターゲットを明らかにしていただき、優先順位を定めていただき、その優先順位にそぐわないターゲットは、むしろ捨てられた方が良いように感じます。
 変な話、万人が楽しめるゲームというのは、誰も楽しめないゲームと同義かもしれません

お願いしたいこと「ルールが明らか」

 これは、いきなりレイヤーが下がってしまい、なんだか恐縮ですがルールが明らかだと嬉しいですね。
 ただ、まあ、これは、もうテクニックの領域ですよね。同じ説明を繰り返さないとか、変な用語を使わないとか……最近、思っているのは、なるべく例題を増やしてほしいことですね。特に、例外処理が多いゲームは、例題が多いと助かります。

(パターン1)Aさんは手番で山アクションを打ち2木材を獲得しました。Bさんは川アクションを打ち、2魚を獲得しました。
(パターン2)Aさんは手番で山アクションを打ち2木材を獲得しました。Bさんは川アクションを打ち、持っていたおとぎ話トークンを返すことで、1桃を獲得しました。

 こんな感じで。
 例って、邪魔にならないんですよね
 インストの最中や、自宅でルールを確認しているときは、たいてい読み飛ばすのですが、ちょっと分からないことがあったときに、例を読んで理解を深めたり、再確認できると嬉しい感じです。

面白いことが、お願いしたいことに含まれない理由

 さて、もしかしたら、ここからが肝心なのかもしれませんが、途中で書いた「別にこれといってお願いしていないこと」について。
 ここまで読んでくださったなかで、もうお気づきかもしれませんが、コンセプトやターゲットによって、面白いは左右されます。たとえば『カルカソンヌ』も『アグリコラ』も、とても面白いゲームですが、その面白さのベクトルは異なります
 これは、これらのゲームのコンセプトが異なり、ターゲットが異なるからです。
 コンセプトとターゲットが異なるとき、面白さの基準というか指針も変化しうるのです
 従って、ただ単に面白いゲームを目指してゲームを作ろうとすると、目的地を見失ってしまい「面白いとは何か?」みたいな哲学的な領域に迷い込んでしまうのではないでしょうか。


 繰り返しになりますが、面白いゲームは求めていません。新しくなくていいですし、役立たなくていいですし、安くなくていいですし、見栄えも悪くて、まったく問題ありません。これらは、いずれも二次的な考え方で、秋山にとって面白くないゲームでも、他の誰かが面白く遊べそうなゲームであれば、それはそれとして評価できるからです
 でも、コンセプトが不明瞭で、ターゲットが曖昧なゲームは、ちょっと扱いに困ります。
 このゲームは誰に、どんなシチュエーションで面白いと思って貰えるように作ったのだろうか。そう、悩んでしまいます。

終わりに

 と言うわけで、遊び手目線での、作り手な方々へのお願い、でした。
 これが誰かのためになって、結果として、面白いゲームに巡り会える日が訪れてくれることを願うばかりです。

【追記】9月28日(金)13:30

 少し、お詫びを。
 なんとなくタイトルに「3」という数字を入れたくて、3つ挙げてみたのですが、やっぱり3つ目のルールに関しては、余計だったかなー、という気がし始めた今日この頃でございます。
 コンセプト/ターゲットの項と、ルールの項とでは、文字通り次元が異なってしまっているので、取り上げるにしても次点とか補足とかで充分でした。
 と言うのも、コンセプトとターゲットがきちんと定まっていて、それに向けてしっかりデザインされたものであれば、自ずからルールは明らかになるからです
 たとえば、ターゲットによっては、誤解のないように細々と文字で書き連ねるのではなく、ざっくり内容が分かり即座に遊び始められるようにマンガ風にする、に辿り着くことだってあるでしょう。もしくは『アンドールの伝説』のように、ルールを、チュートリアル的にゲーム内容に組み込んでしまう、というのもデザインの範疇かもしれません。
 また、得点トラックのたとえば20のところだけ色を変えれば「あ、このゲームは0点スタートではなく、20点スタートなんだ」と分かるひとには分かります。さらに言うならば、そこからの連鎖で「20点スタートってことは、借金の概念があるゲームなのかもしれない。0点以下にはなれるのかな? インストになければ、最後に質問しよ」みたいな発想にも至ります。こういうのも、ある種のデザインですよね。
 ルールは、ゲームが求める形態が望ましい、という結論でひとつお願いします。