米光一成さんのゲームマーケット2019秋の新作『荒野へ-The Game of Tarot』を遊びました。
1人ないし2人で遊べるタロットカードを使ったゲームです。
と、書きましたが、ほんとうにゲームであるかは議論の余地があります。
いえ「これはゲームじゃない!」と言っているわけではなく、むしろ、この作品の方が上位、ゲームという概念を包含しているのでは? と感じました。
米光さん自身による、この作品の紹介を引用させてください、
「荒野へ-The Game of Tarot」は、タロットカードを使ったゲームであり、占いであり、瞑想であり、儀式である。
https://medium.com/@yonemitsu/%E8%8D%92%E9%87%8E%E3%81%B8-the-game-of-tarot-c0b1318848b3
22枚のカード(大アルカナと呼ばれる)を使って闇山(潜在意識)から、カードを荒野(現実の場)に開いていく。ルールに従って、自分の血、未来の血を過去もしくは今に流しながら、すべてのカードを荒野に開けば「達成」だ。
いや、ちょっと意味がよく分かりませんよね。
ゲームであり、占いであり、瞑想であり、儀式??
なんだか哲学的な問いかけみたいです。
話は変わりますが、なのか? 展で『記憶交換ノ儀式』に触れさせていただきました。
インストをしているときに、米光さんが、とても注意深く「儀式」という言葉を用いられていて、きっと、米光さんご自身にとって、これは大事な言葉なんだろうなと感じました。
そのときの感想はこちら。
もう少し調べてみると、米光さん、noteで自作について言及されていた。
1998年、「BAROQUE 歪んだ妄想」というゲーム制作のために本格的にタロットについて調べ始める。「上級天使と呼ばれる存在がタロットを模して、異形のものたち22体を生み出した」という設定にしたからだ。
https://note.com/yonemitsu/n/n08820455e195
タロットを調べ始めると、これは単なる占いの道具にとどまらず、イコノグラフィー、宗教、西洋絵画、象徴、思考ツール、ゲーム、システム、照応、人間心理など、無数の方向につながるブツだと気づき、修行のような調査を継続。
(中略)
そして2019年いよいよ「荒野へ-The Game of Tarot」が登場なんである。
構想というか、タロット活動20年の集大成である。
明日(2019/11/02)フォアシュピールというイベントで、初の「イベント公開」だ。この新しい儀式に参加されよ。
え!『BAROQUE 歪んだ妄想』! 米光さん関わってたんだ、知らなかった! と、そこで、まず驚きです。『BAROQUE 歪んだ妄想』は気になっていたけれど、スルーしてしまった作品で、なんだか今になって後悔です。
閑話休題「タロット活動20年の集大成」なんて言われてしまうと、それだけで圧倒されますね。
さて、ゲームとしての『荒野へ』ですが、フラットな印象を受けました。
美麗イラストによる奥深さですとか、おどろおどろしさというものはなく、どちらかと言うと個人制作のスマホアプリみたいな淡白さです。
しかし、余力がないからそうなっているというより、削ぎ落とした結果、そうなったと言うか、不純なものを取り除いていった結果、ブラッディな血肉だけが残ったので、それをシンボル化した……みたいな、うまく言語化できないんですけれど。
敢えてのデザインだな、と感じました。
ゲームとして捉えたとき、1人プレイは運要素が高めに感じました。
何かを選び取るまでもなく、運命に絡め取られて敗北、みたいな。
でも、2人プレイは、もう少し余地があって、なるほど達成できなくもない、と感じました。
でも、達成する必要があるかどうかと問われると……どうなんでしょう。
この作品が占いであるならば、その結果が排出されたわけですし、瞑想であれば、今回はここまでだったということですし、儀式であれば、その結果が判明したわけです。
一緒に遊んだぺこらさんの感想
血、っていうのが最初、なかなか分からないよね
使い方ってこと?
何を象徴しているのか、ってこと。後、未来とか、過去とかのキーワードも。え、血を吐くの? って思った
『アンドールの伝説』等のボードゲームでは、血を吐きながらアクションする、みたいな表現をすることがあるよね
残業でしょ? HP削りながら移動するの。このゲームだと、カードを置くのにも血を流すことがあるじゃない。未来とか今とか自分とか、よく分からなかったよ……
タロットを題材としていることもあるけれど、非常に抽象的で、ひとによって感じ方、捉え方は大きく異なりそう
うん
面白かった?
なんかふしぎな感じ、独特の世界観だよね
占いはどうだった?
結果よかったね! 嬉しかった!!
それは何より
占うために、なにかをしないといけないわけじゃなくて、遊び終えた結果が、そのまま占いになって楽しめるっていうのが良いよね!
終わりに
ゲームとしてではなく、儀式道具として大事にしたい、というのが現在の認識です。
『思考ツールとしてのタロット』もいずれ機会があれば拝読させていただきたく。
- 作者:米光一成
- 発売日: 2014/03/02
- メディア: Kindle版