『ライジング・サン』のデザイナーとしても知られるエリック・ラングによるボードゲーム『ブラッドレイジ』を遊びました。大量のフィギュアでセットアップ&片付けが大変で、プレイヤー同士の殴り合いに溢れたという前評判で敬遠していましたが、BGGで30位ということで遊んでみました。
2人から4人用のボードゲームで、悪くはなかったです。
インタラクションと箱庭
ボードゲームのメカニクスには流行があります。
古くはプレイヤー人数は3人以上で、プレイヤー間で適度なインタラクションがあり、運と実力のバランスが適切なゲームが良いゲームとされていました。
しかし、ボードゲームの裾野が広がり、プレイヤー間で競い合うことを好まないプレイヤーが誕生し、プレイヤー同士の争いを避ける風潮が生まれると、ひたすら自分の箱庭を作り込むようなゲームが流行ったりもして、歴史で見ると面白いです。
『ブラッドレイジ』は、プレイヤー同士の殴り合いを中心としたゲームということで、大量のフィギュアがあることもあり、アメリカンなゲームなのかなと思っていました。BGGで30位とは言え、きっとアメリカンなボードゲーマーたちが、揃いも揃って高評価だから、彼らを代表して30位に落ち着いているのだろうと、そう思っていました。
よく制御されたデザイン
いざ遊んでみると、自分の予想は、半分当たっていて、半分外れていることに気がつきました。
確かにやっていることは、殴り合いです。
それぞれの攻撃力を高めて、略奪を宣言し、戦力値を競い合います。しかし、面白いのは勝利点の獲得方法ですね。勝つだけが勝利へと至る道ではないのです。
いえ、むしろ、ときには負けた方がおいしいことだってあるのです。
世界観を北欧神話にしたのは、素晴らしい選択ですね。
来たるべく神々の黄昏(ラグナロク)に向け、ヴァルキュリアたちが、勇敢な人間の魂を集め、華々しく戦い、そして死んだものには名誉ある死が与えられる……そんなフレーバーが、とても良い具合にシステムと絡まっているのです。
具体的に言うと、戦争で負けて死んでも勝利点が入ることがあるのです。
こうなると、勝利点のために死ぬというムーブが有効になり、
ここで略奪するよ
ほんと? じゃあ、ちょっと死にたいから、駆けつけようかな
と、死ぬために、戦場に兵士を送り込んだりすることもあるのです。
また、自分を含めて他の兵士が死ねば死ぬほど勝利点になる……みたいなときもあるので、ほんとうにただの賑やかしで戦争に関わりたがるプレイヤーも生まれたりして、勝利に至るルートが複数あり、キングメーカー問題が巧妙に解決されている点も好印象です。
全体的に、駆け引きと言うか、計算が、意外にボードゲームボードゲームしていて、ただの殴り合いアメリカンゲームとは一線を画しています。
結論
と言うわけで「どうせ、前時代的な殴り合いゲームでしょ?」というのは食わず嫌いと言わざるをえず、アメリカンな見た目だけれど、ドイツの血を継いだ正統派ボードゲームでした。
広くオススメします。
一緒に遊んだぺこらさんの感想
死者ロンダリングしたよ
何その冒涜的な用語!!
殺して、勝利点を貰って、また復活させてー
残酷!!
4人プレイどうだった?
面白かったよ。2人プレイに比べると、ユニット数が全体的に増えるから、ごちゃっと感があるかな。中央のユグドラシルの略奪も、みんな集まって決戦みたいになる
2人だと、最初から滅びているエリアがけっこうあるから、第2ラウンドくらいには、もう半分くらい壊滅してるよね
ボードの裏面を、2~3人用みたいにして、エリア数を減らせば良いのにね。離れてると隣接エリアでなくなってしまい、略奪に駆けつけられなくなっちゃうんだよね
ゆぐゆぐに1人は置いておけってことなのでは?
なんで、ユグドラシルに対して、そんなに親しげなの?
だってグラブルのユグドラシルは、ゆぐゆぐって言うでしょ
違うゲームの話じゃん! もうええわ、ありがとうございました
終わりに
事前に期待値が低めだったので、相対的に高評価になってしまいました。
これがBGGで30位というのは、ちょっと今でも首を傾げてしまいますが、全体的によく制御されており、バランスの良いゲームではあります。