オンラインイマーシブシアターの「泊まれる演劇 In Your Room」シリーズの第3弾『ANOTHER DOOR』に参加あるいは観劇しました。
内容のネタバレには配慮していますが、雰囲気バレは否めません。また、褒めていないので、どちらかと言うとしっくり来なかった方に読んでいただいて同意いただければという感じです。
泊まれる演劇とは
イマーシブシアターとは? オンラインイマーシブシアターとは? 泊まれる演劇とは? 今までの流れは?
その他、諸々は「泊まれる演劇 In Your Room」シリーズの第1弾『Room 101』の感想に書きましたので、そちらをご覧いただければ幸いです。
『ANOTHER ROOM』について
まずは、公式が発信しているメッセージを借りる形で、この公演について紹介させてください。
泊まれる演劇 In Your Roomの新たな実験作の公演詳細が決定しましたので発表させていただきます。
https://note.com/tomareru_engeki/n/n9cd344d2a53f
本作では複数の客室で同時多発的に物語が進行し、キャストはリアルタイムで客室間を移動します。参加者も鑑賞するzoomミーティングを変更することで、まるでホテルの中を歩くように、鑑賞する客室を自由に選択して物語を楽しむことができます。
https://note.com/tomareru_engeki/n/n9cd344d2a53f
※本作は謎解きメインのイベントではございません。
https://note.com/tomareru_engeki/n/n9cd344d2a53f
というわけで、やや恣意的に取り上げさせていただきましたが、この公演を象徴するメッセージかなと。
公演の感想
シリーズ第2弾の『Room 102』は未体験であることを、最初にお断りします。
憶測を含みますが、今回の『ANOTHER DOOR』は今までの2作とは大きく方向性が異なるのではないか、そう感じました。
・会場が「HOTEL SHE, KYOTO」ではなく、「HOTEL SHE, OSAKA」
・会期が1週間弱ではなく、1ヶ月間毎週末。
・脚本が渋谷ニコルソンズの木下半太ではなく、悪い芝居の山崎 彬。
こんなところでしょうか。
端的に言って、求めていたものではなかった、公演が終わったとき、そう感じました。
『Elephant In The Room』という架空のマッチングイベントに参加し、同じ参加者6人の客室を覗き見るようなシステムで、話に聞いただけですが演劇の『タマラ』をデジタルでやったような感じなのかなと感じました。
『タマラ』では、観客と俳優の間の壁がなくなっている。『タマラ』が上演されるのは一軒の大きな家で、11ある部屋で、10人の俳優たちが、同時進行的にストーリーを展開してゆく。観客は誰か1人の俳優を選択して、その俳優に随行するが、同時に随行する役を「俳優」として演じ、ストーリーを体験する。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%A9_(%E6%88%AF%E6%9B%B2)
キャストとの触れ合いもありますが『Room 101』や『のぞきみZoom』ほど直截的ではなく、彼らの運命を大きく左右するような干渉はなかったように感じました。
キャストが計6人ですので、隅々まで味わい尽くそうと思うならば、少なくとも6回は参加し、6回は楽しめるわけですが、そうしたいとは思いませんでした。
仮に、この作品に触れたのが、今年の4月以前であれば、感想は大きく変わっていたことでしょう。
「これぞ、まさしく観たいと思っていたイマーシブシアターだ! テーマこそ恋愛で、個人的好みからは外れるけれど、悪くはなかった!」
こんなような感想になっていたことでしょう。
しかし『のぞきみZoom』『ある冴えない男の人生最悪の選択』『劇団ミルキィポール殺人事件』『Room 101』『SECRET CASINO』これらを経てしまった私にとって、『ANOTHER DOOR』は求めていたものでは、なかったのです。
イマーシブシアターとは何か?
おそらく人の数だけ答えがあるでしょう。私自身、自信を持って言い切れるきはしません。
しかし、ゲームを出自として、ゲームという概念を、より深く、多角的に楽しむために周辺ジャンルを抑えておくべく、四方八方に手を伸ばしている私にとって、やはり大なり小なりゲーム的な要素のあるものの方が好みになります。
同じ泊まれる演劇シリーズの中でも『Room 101』はゲーム性が高く、一方で『ANOTHER DOOR』のゲーム性は低く感じました。あるいは、それだけの話なのかもしれません。
『Room 101』と同等のゲーム性を期待したけれど、どちらかと言うと演劇に寄っていて、しかもテーマが恋愛という個人的趣向から外れていたものだった。だから今ひとつに感じた。冷静に言葉にすると、こういうことでしょう。
とは言え……!
ええ、勘違いのないよう断わっておきますが、イマーシブシアターという概念の幅広さやその可能性を見ることができた。という点において、非常に良い経験でした。
次の泊まれる演劇が『ANOTHER DOOR 2』だったとしても、きっとチケットを取ることでしょう。
終わりに
唯一、気になるのはリピートの必要性です。
上述の通り、今のところ、その予定はないのですが「え、ゲーム性が低い? 求めていたものではなかった? いやいや、秋山くん。なにも言わずにリピートしてみたまえ。きみの観たかった『泊まれる演劇』がそこにあるから」と、是非、耳打ちしてください。
どうぞ、よろしくお願い致します。