雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

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謎めいた世界の真相を暴くのも楽しい中毒性の高い1人用人狼ADV『グノーシア』の感想

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 ニンテンドースイッチで発売されているダウンロードソフト『グノーシア』を遊びました。
 元々はPSVitaで2019年6月にリリースされたタイトルで、2020年4月にSwitchに移植されました。この感想は、ネタバレに配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

『グノーシア』は名古屋に住む4人だけの独立系ゲーム開発集団プチデポットが開発した、いわゆるインディーズゲームです。
 インディーズ、と言っても開発期間は、なんと4年間。細部まで作り込まれており、クォリティの点において、他のゲームと比べて劣るところは、ぜんぜんありません。


 舞台はSF世界における宇宙船内
 プレイヤーは乗員となり、船内に紛れ込んだ感染者を議論を通じてあぶりだし、多数決を行ってコールドスリープさせていきます。乗員が全滅する前に、感染者を全員、コールドスリープさせることができればプレイヤーの勝利です。
 ここまでだけだと、いわゆる1人用人狼ゲームと言っても差し支えないでしょう。

謎めいた世界の真相を暴く楽しさ

 船内にはプレイヤー以外に、様々な人種の乗員がいます。
 いえ、果たして人種という表現が適切かどうか……宇宙空間を舞台としたSF作品だけあって、登場するキャラの大半は、地球出身ではないのです。奇抜なファッションをしているくらいであれば、まだ良い方で、なかにはリトルグレイ的な見た目や、そもそも人型ですらないキャラクターもいたりします。
 何故、彼らはこの船に乗り込んでいるのか?
 この船は、どこへ向かっているのか?
 そもそもグノーシア感染者とは何者か?
 そして、どうしてグノーシアをすべてコールドスリープできたにせよ、できなかったにせよ、プレイヤーの意識は暗転し、1日目に戻るのか?


 最初のゲームが終わり、2ループ目が始まったとき、あらゆる時間物を偏愛している私は、内心、狂喜しました。
 そもそも、このゲームはTwitterでちょっと見かけて「1人用人狼を、どのように実装したのか気になる」というゲームデザイン的な興味で購入したのです。何回かプレイしたら、早々に飽きるだろうなという低い期待値から始まっていたので、まさか大好物であるループ物だとは思いもしていなかったのです


 そこから先は、ずぶずぶと沼にハマって行きました。
 数え切れないほどのループを繰り返すなかで、少しずつキャラクターひとりひとりの過去や背景が明かされ、この世界の秘密や真相が暴かれていくのが快感でした。
 そして最後。
 すべての伏線が収束し、至った結末には、思わず涙が溢れました
 正直、いまもエンディングを思い返すだけで、軽く泣けてきます。
 まごうことなき傑作でした

中毒性の高い繰り返しのゲーム

 ゲームクリアに要したループ数は127周でした。
 実に127回も人間だったり人狼だったりしながら、議論を重ねて吊った吊られたを繰り返したのです
 さすがに70回を過ぎたくらいで、中だるみしてきて遊びつづけるのがしんどくなってきましたが、それでも駆け抜けられたのは、ひとえに魅力的なストーリーと、そして何よりも軽快なプレイ感でしょう


 1回のゲームは、だいたい10分ほど
 最初のうちは、じっくりとテキストを読み込み、些細な違和感を逃すことなく遊ぶことで、ちゃんと投票先を選んだりしましたが、慣れてくるとキャラクターごとの相性や適性が見えてきて、半ば機械的に遊べるようになります。
 機械的と言っても、脳への負荷は一定以上で、運が悪いと必ず吊られて負ける展開もあるのですが、きちんと計算し、きちんと行動すれば、自分の思い通りの結果に誘導できる、という楽しみもあります。
 そして、これらすべてが軽快な操作感の元に成り立っているのです。
 ロード時間が長かったり、動きがもっさりとしているとか、また同じテキストを読ませられた……と、辟易するような瞬間は、ほぼ、なかったです
 ぜんぜん方向性の異なるゲームですが、不思議のダンジョン系のゲームに近いですね。

好きなキャラクターを語らせてください

 書くべきことは書きました。
 私と同じくループ物が大好きという方、スペースオペラが好きな方、1人用人狼というゲームデザインに興味を覚えた方は、今すぐにでもこのページを閉じて『グノーシア』を買いに行くべきでしょう


グノーシア|オンラインコード版

グノーシア|オンラインコード版

  • 発売日: 2020/06/02
  • メディア: Software Download


 重ねて言うと『ダンガンロンパ』や『ガンパレード・マーチ』、『Ever17』、『シュタインズ・ゲート』が好きな方も楽しめることでしょう。
 後、未プレイなので勘で書きますけれど『絢爛舞踏祭』が好きな方にもオススメです。え、オススメしてないで、はやく『絢爛舞踏祭』をやれって? えっと……移植していただければ……。



 閑話休題、『グノーシア』未プレイの方で琴線に触れた、という方は、もうこのページを閉じたことでしょうし、この文章を読んでいるのはプレイ済みの方だけなので、ここから先は、好きなキャラクターについて語らせてください
 あ、ちょっとネタバレありますんで、気になる方は、ここで確実に回れ右してください。


……さて。
 いや、もう、なんと言ってもセツですよ。
 性別的には汎なんですが、今回、自身の性別を男性に設定したこともあって、セツは完全にヒロインとして見ていました。
 特に中盤の、この宇宙船を降りた後の話をされた頃から、とても好きになりました。
 アフターの話は、SQやコメットもしていましたね。ループに囚われているプレイヤー的には、終わった後の世界なんてものは存在しないわけで、そんな辿りつけない未来の話をされても、空虚な気分になるだけなんですが、でも、繰り返すループがしんどくて、ついその先を想像して夢を見てしまいます。


 だからこその、終盤におけるセツの選択、そしてその選択が秘めていた重みが分かったときは言葉になりませんでした。
 だって、医務室であの選択をした時点で、セツには、残された特記事項が見えていたはずなのです。セツは、あの特記事項を埋めるために自分を優先させることもできたのです。でも、そのことをおくびにも出さず、セツは……。
 いや、もう、思い出すだけで泣けてきますね。


 それぞれの結末も、過不足なく良いですね。
 コメットとシピ、オトメとククルシカ、ラキオとレムナン、ジョナスとステラ、夕里子……。
 それぞれ過去があって、この宇宙船での体験を経て、それぞれの未来へと向かっていく、そんな変化が良いです。語りすぎていないので、プレイヤーが想像する余地が豊富にあるのが良いですね。
 交差点みたいなイメージで、多くのキャラクターが一瞬だけ交差点の中央ですれ違った。その一瞬のなかに、いろいろなドラマや成長があって、それによってそれぞれの目的地がちょっとだけ変わったり、隣に立ってくれるひとが現れたり。
 そんなことを考えるだけで、心がほっこりします。

一緒に遊んだぺこらさんとの対談

 全3回です。
 1回目は10ループ時点、2回目は70ループ時点、3回目はクリア後です。


終わりに

 途中にも書きましたが、1人用人狼というゲームデザインが気になった遊び始めたのに、いつしかストーリーに夢中になっている自分がいました。何時間プレイしたかは分かりませんが、至福の時間でした
 プチデポットさん、他にも『メゾン・ド・魔王』というゲームを手掛けられていらっしゃるんですね。気になります。