平成最後の仮面ライダーの『仮面ライダージオウ』で仮面ライダーにハマり、令和最初の仮面ライダーの『仮面ライダーゼロワン』は始まる前から楽しみにし、ほぼ毎週、リアルタイムで視聴しました。
8月末に最終話が放送されましたが、改めて振り返ります。
初心者向きの仮面ライダーだった
1年を通して視聴し、思い入れがあるから──というのもあるでしょうが、とても初心者向きの仮面ライダーだった、という印象です。
あるいは最初に見た『ジオウ』が規格外だったのかもしれません。
『ジオウ』は平成最後の仮面ライダーとして、ある種、オールスターのような要素がありました。それまでの仮面ライダー19作品の登場人物たちが次々と現れ、長年のファンにとっては、まさに夢のような作品だったかもしれませんが、初めて視聴する身としては「困惑がなかった」とは言い切れません。
一方『ゼロワン』は正統派と言える内容でした。
新時代の幕開けを担うヒーロー
『ゼロワン』という名前には、様々な意味が込められています。
作品の内容的には、AIがテーマということもあり、0と1のデジタル信号が由来となっています。タイトル的には令和の音が零(れい)と一(ワン)を連想させる、というのもあるそうです。変身ポーズも、片方で丸を形作り、もう片方では人差し指を伸ばし、0と1を表現していました。
また、もちろんシンプルに令和最初の仮面ライダーだから、1番目だからゼロワン、という意味もあります。
特筆したいのは最後の1番目のところで、1番目の令和ライダーだからこそ、基本に忠実に、王道を進もうという制作意図を感じました。
ゼロワンが象徴する基本と王道
いちばん目につくのは、変身後の姿でしょう。
近年の平成ライダーに見受けられた奇抜なデザインは息をひそめ、どちらかと言うと昭和ライダーを今風に洗練させた見た目で、正統進化を感じさせます。
物語も勧善懲悪をなぞりつつも、敵方には敵方の事情があるという受け入れやすいものでした。
登場人物も主人公の飛電或人を筆頭に、愛嬌のあるキャラクター揃いで、暗い話になりがちな展開のところも、一定のギャグやお笑いがあって、どこか和やかな雰囲気が残っていました。
その一方で、扱っているテーマ自体は、人と人工知能の共存であったり、「夢に向かって飛べ」というメッセージが掲げられたり、多様な仕事が紹介されたり、考えさせられるものもありました。
特に、夢と仕事に対する向き合い方は好印象でした。
最近では翳りが出てきているかもしれませんが、少し前に子どもたちの人気職業はYouTuberというニュースを見ました。
確かに、一部のYouTuberは輝かしく見えるかもしれませんが、YouTuberをして好きなことをお金に変えることができる職業、というのは首肯できません。仕事や職業の光だけを見せるのではなく、様々な立ち位置からの主義主張、見える景色を描いたという点も良いなと感じました。
エンターテイメントとしての仮面ライダー
かつてアメコミは、一部のコアなファンだけが楽しむサブカルチャーでしたが、「日本よ、これが映画だ。」というキャッチフレーズで席巻した『アベンジャーズ』をかわきりに、一気にメインカルチャーへと躍りでた印象です。
『ジオウ』を追っていたときから「日本の仮面ライダーも、MARVELに負けていないのでは……?」と内心、感じていたのですが、今回の『仮面ライダーゼロワン』を見て、確信を抱きました。
特に『ゼロワン』は飛電インテリジェンスの社屋が、アイアンマンのトニー・スタークがCEOを務めるスタークインダストリーズの本社ビルに、どことなく似ていることもあり、制作陣も意識しているのではと感じます。他にもゼロワンとアイアンマンは、企業の社長という点も共通しています。
もっとも仮面ライダーは、あくまで子ども向けコンテンツという立ち位置を死守しているように見えるので、今後もMARVELに取って代わるということはないでしょう。
ただ、1ファンとして、MARVELを楽しむ心を持っているのなら、仮面ライダーを楽しむこともできる、と信じています。
終わりに
コロナの影響を受けて、一時中断したこともあり、終盤の展開は、やや精彩を欠き、早足でした。しかし、最終回は、まったく突っ込みどころでない理想的な結末でした。1年間、追うことができて良かったです。12月公開予定の劇場版も楽しみです。
終わりよければ全てよしと言いますし、基本に忠実、王道をどこまでも正しく進んだ令和最初の仮面ライダーとしてゼロワンは、ライダー史に残り、長く語り継がれることでしょう。
そして、令和第2弾となる『仮面ライダーセイバー』ですが……初回の放送は、レンジャーっぽくて、私が仮面ライダーに期待しているものとは、ちょっと違ったのですが……もう少し追ってみます。
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