のりっちさんのマーダーミステリー風ゲーム『女か虎か ─王女の苦悩─』を遊びました。
ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
のりっちさんのnoteで公開されている無料の作品です。
メンバーを集めて、それぞれがページにアクセスすれば誰でも事由に遊ぶことができます。
3人用のシナリオでGMなしでも遊べますが、公式にGMあり推奨とされています。万全を期して遊びたい方は、GMしてくれる方を探した方が良いかもしれません。
ゲームの感想
マーダーミステリー風ゲーム、と記載されているのが、本作が一般的なマーダーミステリーのように、殺人事件を取り扱ったものではないからです。
本作はF・R・ストックトンの小説『女か虎か』を原作として、このリドルストーリー(謎掛け作品)をマーダーミステリー風に仕上げています。即ち、各プレイヤーは処刑を成功させたい側と、処刑からまぬがれたい側とに分かれて、ある意味、対決することになります。
マーダーミステリー的に表現するならば、全員に共通して与えられる「真犯人を当てよ」というメインミッションがなく、キャラクター同士で競合する「処刑を成功/失敗させよ」というサブミッションだけがある作品、という感じです。
プレイヤー同士の知恵比べのゲームとして、楽しく遊ばせていただきました。
原作からしてそうなのですが、キャラクターごとの目的や悩みどころが明確に定められており、デザイン的に美しいなと感じました。
ただ、真に優れているのはエンディングです。
『女か虎か』自体は1884年の作品で、既に著作権は切れています。検索するとネット上に全文が掲載されているので読むことができます。私は小説が好きなので、この作品を遊ぶ前に原作を読んだのですが、だからでしょうか『女か虎か ─王女の苦悩─』のエンディングには震えるほど感動しました。
デザイナーのりっちさんの配慮、心配りの奥深さが分かります。……が、あんまり気にしてしまうとネタバレになってしまうので、ゲームを遊ぶときは余計な知識を入れぬよう、原作未読のまま向かった方が良いかもしれません。
終わりに
リドルストーリーについてですが、Wikipediaを見ると結末が明かされないまま終了することを主題とした作品のことだそうですね。身近な作品としては、芥川龍之介の『藪の中』も主なリドルストーリーとして挙げられていました。
となると東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』も、ある種のリドルストーリーと言えるのでしょうか。このジャンルは不勉強でしたが、機会を見て触れてみたいですね。