ホビージャパンから日本語版がリリースされたインタラクティブ・アドベンチャー『カンタループ 刑務所入獄』を遊びました。
ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
「インタラクティブ・アドベンチャー」というジャンル名がつけられ、キャッチフレーズ的に「ミステリーブックゲーム」という文言もありますが、本作は純粋なボードゲームとは、すこし異なります。
形状的にも、バインダーに複数の紙が綴じられており、ボードゲームというより本と呼んだ方がしっくり来るくらいです。
また、ゲーム的には、デジタルゲームにおける「ポイント・アンド・クリックアドベンチャー」をアナログゲームに逆輸入したプレイ感で、豪華なゲームブックもしくはアナログなアドベンチャーゲームと称した方がしっくり来ます。
ジャンル的には、コスモス社からリリースされている『ザ・ダンジョン』や『モノクロームINC.』などの《アドベンチャーゲーム》シリーズに近しいですが、形態が本になっていることもあり、よりゲームブック的な印象です。
ゲームの感想
待ち望んでいたゲームですので、日本語版をリリースしてくださったホビージャパン社には、感謝しかありません。
本作は『推理ゲームふるあた』の年表にも加えており、日本語版の発売が告知される前からチェックしていたタイトルのひとつです。
海外版のタイトルは『Cantaloop - Book 1 Breaking into prison』で、明らかに続き物であることが分かりますが、日本語版のタイトルには連番がありません。
続きものであること、1作で完結していないことを伏せるのは悪手なのでは……? と思わないでもないですが、シリーズ第1弾が売れないと、第2弾がリリースされないのは世の常なので、これもホビージャパン社なりの戦略なのであろうと考えるとします(原作も公式サイトには連番が振られていますが、パッケージには「Book 1」の表記はありませんし、あるいは元々の戦略なのかもしれません)。
クリアに要した時間は、5時間半。
なかなかに苦戦しました。
序盤こそ、さくさくと遊ぶことができましたが、中盤を過ぎた頃から、行ける場所も豊富だし、所持しているアイテムも豊富なので、実行できるアクションが増えすぎてしまい、結果、選択肢に溺れました。
終盤は1工程ずつ、ヒントを参照する始末でした。
上述の通り、物語は終わっていません。
感覚的には起承転結の「起」が終わったところです。でも、充分に楽しかったですね。
物語を読み解いて、次にやるべきことを考える試行錯誤の楽しみは味わいましたし、なんといっても主人公のフックがいい男なのです。
小憎たらしい笑みを浮かべながら、ときにドジを踏んだり、ときに失敗を犯し、やれやれと溜め息をついたり、「こんな調子じゃSDJは受賞できないな」とメタ発言をしつつも、しかし、なんだかんだ決めるところは決めるのがカッコいいです。
感覚的には、ダサめのルパン三世です。
あの雰囲気が好きなひとは、きっと気に入ります。
終わりに
と言うわけで、実に楽しかった5時間半でした。
ホビージャパンには是非、次のBook2の日本語版も心からお願いしたいです。