雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

オススメの謎解き&ボードゲーム&マーダーミステリーを紹介しています

台詞がひとつもないのに涙が堪らえられないイマーシブシアター『リメンバー・ユー』の感想

f:id:sinden:20211221233856p:plain
 ego:pressionさんの第8回公演『リメンバー・ユー』を観劇させていただきました。
 再演される可能性もあるので、ネタバレにならない範囲で感想を書きます。

劇の概要

秋のお彼岸。それは、大切な人を思い出す日。


あなたは鈴木家を静かに見守る客として招かれた。
仏壇には御供物と菊花、家屋をただよう線香の香り、
優しく響く鈴の音ーーー準備は万端だ。


今日は久しぶりに息子と孫二人が家にやってくるということで、
おばあちゃんはとても嬉しそう。
お手伝いさん、製菓工場の工員、間借りしている画家、親戚の子供も集まり、
鈴木邸は大賑わい。
穏やかな帰省のはずが、古いアルバムをきっかけに徐々に明かされていく
温かくも切ない真実ーーー

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02bqq91pn4x11.html

劇の感想

『スパイは3度、ベルを鳴らす』と『新・スパイは3度、ベルを鳴らす』というイマーシブシアター作品の評判がとても良く、再演の機会があれば絶対に参加したいと考えていました。
 なので本作は、発表された瞬間にチケットを購入し、楽しみに観劇させていただきました。


 会場は平井駅から徒歩7分という立地にある墨田区登録の有形文化財。
 風情ある日本家屋を舞台に繰り広げられる物語は、完全なる無声で、登場人物たちは、一言も交わすことなく身振り手振り、そしてダンスで感情を表現します
 登場人物がどのような想いを抱き、何をどのように考え、そしてどこへ向かおうとしているのか、それはすべて観客の想像に委ねられます。


 観劇前に配られたパンフレットを見て、興味を抱いたのは、なんと言っても物語の中心にいそうな一家のおばあちゃんこと鈴木美智子。そして、愛嬌のある表情が素敵なサラリーマンの茂。
 おばあちゃんをメインに追っていけば、物語の全貌が見られそう。
 そう思って観劇をはじめましたが、家族が揃ったところで、度々、視線が娘の鈴木希美役のpinkeさんに引き寄せられていることに気が付きました。
 ダンスが主体の作品なので、どうしても華があるというかダンスのキレが良くて、表情豊かな人物に目が行ってしまうのですよね
 そして、彼女に惹き寄せられているうちに、引きこもりの文役のえみさんも素敵だなと思いはじめ……、


まさか涙を誘われることになるとは、予想だにしていませんでした。物語性あふれるダンスは、まさしく言語によらないコミュニケーション。観劇を通して、彼女たちの人生を追体験して涙しました


 まさかイマーシブシアターを観劇していて泣くことになるとは思ってもいなかったので、自分でも驚きましたし、ここまで感情が揺さぶられたことに動揺もしました。
 そういう点でも、エモーショナルでとても良い公演でした。傑作ではないでしょうか

終わりに

f:id:sinden:20211221234223j:plain
 帰路、Twitterで他の方の感想を見つつ、わたしが追うことができなかった、他の登場人物の人生に想いを馳せました。
 何度でも参加したくなるイマーシブシアターでした。
 再演があったら、今度は違う人物を追ってみたいですね。