雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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アメリカ映画のようなループもの『Twelve Minutes』の感想(ネタバレあり)


 Xboxで『Twelve Minutes』を遊びました。
 見下ろし型のポイント&クリックADVです。ネタバレありの感想なので、未プレイの方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 主人公の名はアーロン。
 仕事を終えて、妻とふたり暮らしのマンションに帰ると、どうしてか妻は上機嫌。
 幸せなひとときを過ごしていると、突如やってくる来訪者。警察を名乗る男は、妻を拘束し、主人公を殺すのだった──。
 そして、気がつくと時計の針は10分巻き戻り、主人公は上機嫌な妻に出迎えられるのだった。

ゲームの感想

 10分間隔で繰り返されるループもの
 ループもの好きとしては見逃せるわけもありません。


 ゲーム形式としては、見下ろし型というのが珍しいです。
 特殊な場面を除き、主人公やその妻の頭頂部を見続けることになります。
 リアルタイムというのも面白いですね。ループが始まって、毎回、同じタイミングで雷が鳴り、ピンポンが鳴るので、ループを繰り返していると、やがてテンポが分かってきます。
 舞台が必要最低限であることも良かったです。主な舞台はリビングで、他に用意されている空間は寝室、ユニットバス、そしてクローゼットと限定的です。ひとつの空間だけで物語が完結する密室劇を思わせます。
 そして最高に格好いいのは、タイトルが「12分」であるにも関わらず、ループそれ自体は「10分」であることでしょう。


 ワクワクさせる要素が盛りだくさんで、遊びはじめる前からテンションが高かったですし、遊びはじめた直後も興奮度が高かったですね。
 1回目の人生が幸せの絶頂というのも憎い演出でした。
 遊ぶ前から「主人公が死ぬこと」と「ループすること」は知っていたので、感動的なシーンを見せられれば見せられるほど、この後、どれくらい悲劇的なシーンを見させられることになるのか、胸が痛くなりました。


「何故、ループしているのか?」「どういう条件を満たせば、このループから抜け出せるのか?」こういった説明はまったくないので、かなりリアルなループ体験が得られました
 いちばんしんどかったのは、情報を得るために妻を見殺しにしたときですね。
 ループによって、彼女の死が"なかったこと"になるのは分かっていますが、それでも一度は彼女を殺したのだという事実は変わりませんし、もし、万が一、ループしなかったら? と嫌な汗をかきました。
 次のループでは、せめてもの罪滅ぼしのため、デザートを食べ、妻とダンスを踊り、包丁を持って男に斬りかかり、彼女より先に死にました。


 警察の拘束に成功したとき、父親殺しの真犯人が妻ではないと分かったとき、モンスターの正体が主人公ではないかと察しがついたとき──これらのシーンは、思わず声が漏れるほど興奮しましたが、終盤の展開は好みではなかったですね。
 まさにタイトル通りなんですけれど、風呂敷を広げまくった結果、見る前の期待値が高くて、見ている最中はめちゃくちゃ楽しいのに、最後の最後で急失速して「あー、はいはい」となるアメリカ映画のようだと感じました

終わりに

 わたしは釈然としない結末だと感じましたが、プレイヤーの想像にゆだねるような余韻のある結末と評価する方もいると思います。いろいろな考察ができますし、想像をふくらませる余地が多いですからね。
 やや好みとは外れましたが、レベルの高いループものを楽しめて良かったです