雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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現代の王道RPGは映えるけど薄味だった『オクトパストラベラー』の感想(ネタバレあり)


 スクウェア・エニックスが2018年にリリースしたRPG『OCTOPATH TRAVELER オクトパストラベラー』を遊びました。
 いったん8人の主人公、それぞれの第4章を終えたので感想を書きます。ネタバレありなので未プレイの方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 古き良きRPGが持っていたドット絵を採用しつつ、背景を3D化することによって奥行きと美麗さを兼ね備えたHD-2Dが話題を読んだ作品。
 8人の主人公による物語が、それぞれ全4章で語られます。

オクトパストラベラー - Switch

オクトパストラベラー - Switch

  • スクウェア・エニックス
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良いところを振り返る感想

 なんと言っても最大の売りであるHD-2Dを体験できたことが良かったです
 ソーシャルゲーム版の『大陸の覇者』を遊んでいましたが、やはりスマートフォンの画面で見るのと、大画面で見るのは臨場感が違いますからね。また『大陸の覇者』はスマホで遊ばれることに操作性が最適化されていますが、本作はコンシューマなので、広大な世界を自由自在に移動することができます。
 そのため、上下に移動することによって、さっきまで鮮明に見えていた村人が、手前に来てピンボケしたり、遠くにボンヤリ見えていた船影が、近づくことによって鮮明に見えてくるのは良かったです


 操作性も抜群でした
 ここらへんは、いかにも今風のRPGという印象ですね。何もかもがしっくり来て、直感的にプレイできました
 ボタン操作や配列などのインターフェイスが優れていることはもちろん、どの街でも、だいたい入り口に宿屋があって、中央に酒場があるので、迷うことが少ないです。


 遊びやすさはシナリオ設計にも手が及んでいます
 8人の主人公たちの各章は、だいたい1時間~1時間半というプレイ時間で、忙しい方であっても、毎日1章ずつ遊ぼうという時間調整が容易です
 章のはじまりに、かんたんな「今までのあらすじ」が表示されたり、いつでも旅の経緯を辿れるのも良いですね。


 音楽も最高でした
 8人の主人公ごとに用意されたメインテーマだけでなく、8つの地域や、街ごと、とにかく耳に残る素晴らしい楽曲の数々が物語を美しく彩っていました。
 どの主人公のテーマ曲も捨てがたいのですが、やっぱりいちばんはプリムロゼですかね。
 潤いを奪い去っていく砂漠の乾いた風や、彼女の不幸な半生、そして未来へと繋げていく切なくも激しい覚悟。まさしく彼女の生き様とも言えるものが、あのテーマ曲には完璧に含まれているので、流れるたびに鳥肌が立ちました。


 戦闘もハマりました
 RPGの戦闘って単純作業の連続で苦痛であることが多いのですが、ブーストとブレイクの仕組みは、ほんとうによく出来ていますね
 ボスごとにブレイクを巧みに防ぐギミックもあったりして、毎回、ちょっと考えさせられるところに面白味がありました
『ブレイブリーデフォルト』のブレイブとデフォルトの仕組みも良かったので、ここらへんはプロデューサー浅野智也氏の面目躍如という印象です。


 総合的には、旅感を味わうことができました
 8人の主人公が、それぞれ異なる理由で、異なる場所から旅立ち、そして旅の先々で訪れる場所で冒険して、成長して、旅の終着点に辿り着いていく……。
 この過程は、とても素晴らしく、異世界ではありましたが旅の楽しみを堪能させていただきました
 タイトルに「トラベラー」を含むことから、この旅感は重要なコンセプトに設定しているものと思われます。
 興味深いなと感じたのはオープンワールド感です。各ストーリーに関与するダンジョンには、対応する主人公のストーリーを始めないと入ることができませんし、マップのロードには画面の切り替えが発生しますが、ゲーム開始時から、


・8人のどの主人公を選んでもよい。
・他の7人の主人公をどの順番で仲間にしてもよい。
・誰も仲間にせず一人旅を続けてもよい。
・どの街をどの順番で訪ねてもよい。


 という自由度があることから、RPGであるにも関わらずオープンワールドらしさを感じました
 プレイ感として、ファストトラベルがあり、特に中盤以降は多用するからかもしれませんが……。

良くなかったところを振り返る感想

 最初にお断りしておきますが、プレイ時間は、まだ40時間強です。
 8人の主人公それぞれの第4章を遊び終えたところで、ホルンブルグ王国やグラム・クロスフォード、フィニスの門、黒曜会とうっすら繋がりが見えていますが、まだ朧気という状態です。組織が手記を狙う理由も不明ですし、魔物の気持ちを読み解けるハンイットが、赤目の気持ちは分からなかったのも気になります。
 そして、この段階における率直な感想としては、


また、サブストーリー進めないと、ほんとうの面白さが分からない!? もう、ほんと、こういうのいいんですけれど……!


 です。
 考えてみれば『ブレイブリーデフォルト』もそうでした。
 怒りを覚えるほど悪夢的な過程を経由しましたが、最終的にはエンディングで説き伏せられて擁護派にならざるを得なくなりました。



 タイトルにも書きましたが、正直、今のところ本作は、薄味極まりないです
 確かにHD-2Dは美しいですし、音楽も良かった。ストーリーは遊びやすく、バトルも良くてRPGとしての完成度は高いと言えます。
 サイラス先生がルシア相手に啖呵を切るシーン、オルベリクの元にエアハルトが駆けつけるシーンは感動しました。8人の主人公それぞれに見せ場があり、グッと来る場面があったことは確かです。


 しかし、ゲーム全体を通して、圧倒的な感動があったかと聞かれると、答えは「ありません」です


 5時間シナリオを計8本やった、もしくは8編からなる連作短編集を読み終えたという感覚で、長大なひとつの物語を楽しんだという感覚は皆無です
 そもそも、主人公同士の繋がりが薄いのですよね。
 一人旅を許容する自由度の高さからか、各主人公のストーリーは、基本的に主人公自身とゲストキャラだけで構成されており、他主人公が絡むことはありません。
 敢えて言うとチャットがありますけれど、おまけにしか感じられませんでした。
 なんなら、たとえばオルベリク編の闘技場のシーンなんかは、物語的には1対1のはずなのに、急にパーティ戦になって違和感しかありませんでした。


 極めつけが8人クリア後に放り出すスタイルですね。
 いやあ、サブクエストが多い系のゲーム、苦手なんですよね。しかも、その大量のサブクエストの中に、世界の真実がこっそり隠されているタイプは、特に。

終わりに

 と言うわけで、もう少し遊ぶ予定では、『ブレイブリーデフォルト』のときと同様に、後で手のひらを返すかもしれませんが、いまの時点ではこうです! ということで。
 ここから先、面白くなることを祈ってます……!