スクウェア・エニックスのRGP『OCTOPATH TRAVELER オクトパストラベラー』の裏ボスを倒しました。
裏ボスを倒す前に感想記事を、一度、書いているのですが、その後、どのように捉え方が変わったかを、この記事で書いていきます。ネタバレ全開なので、未プレイの方は回れ右推奨です。
先に前の記事をご覧ください。
上述の通り、8人の主人公をそれぞれクリアした時点での感想を書いています。
まだの方は、是非そちらからお読みください。
評価の変化
最初に結論を書きます。
40時間ほど掛けて、8人の主人公それぞれのエンディングを見た時点において、わたしの感覚として本作は良作どまりの作品でした。
HD-2Dや音楽は素晴らしかったですし、バトルも楽しかったのですが、RPGにおいてわたしが重視しているストーリーや世界観は薄味でした。
結果、総合的に見て、良作でした。
24時間かけてフィニスの門を潜り、8つの手記を見て、ガルデラを倒した結果、ストーリー的な満足度はだいぶ向上しましたが、それでも傑作と称賛するほどではありません。
8人の物語が繋がる快感
ミステリの文脈ですと、東京創元社の連作短編集に特に強い傾向として見られますが、一見、バラバラの短編小説だけれど、エピローグまで読むと、実は一本の線で繋がっていて、壮大な物語だったことが分かるという仕掛けがあります。
本作は出自も、旅の動機も異なる8人が、それぞれに旅をして、旅の先々で多くの経験を経て、成長していく様子が描かれます。その個別の、小さな物語が、やがてひとつの大きな物語に飲み込まれていくのを、わたしは最初から期待していました。
「このシナリオはイマイチかも」と思いつつも、モチベーションを持って最後まで取り組めたのは「きっと、ラストに予想外の真実があるからに違いない」という、謎の信頼を持って邁進していました。
確かに腕の良い薬師グラム・クロスフォード=赤目によって8人の物語は繋がりました。
しかし繋がったとき、私が強烈に感じたのは疎外感でした。
9人の物語だったのでは?
グラム・クロスフォードの息子にして、リブラックに付け狙われることになるクリス。
彼こそ、本作の9人目にして、真の主人公だったのではないでしょうか。
あるいはタイトルに含まれる「オクトパス」から主人公は8人だけと見せかけておいて、実はブラフで、本作はクリスの物語だったのだとしてくれた方が、ずっと納得感がありますし、しっくり来ます。
ガルデラを倒した後の展開もあっさりしていて、何時間もかけてレベル上げするのではなく、さくっと8体の黒き魂を倒して、8つの手記を読み終えたところで終わらせても良かったのではと頭を抱えました。
RPGに求められるのは壮大なストーリーなのか?
悶々と考えているうちに、ある仮説に辿り着きました。
それは、わたしがRPGに対して求めているのは壮大なストーリーなのではないかという疑問です。
8人の主人公は、それぞれの旅を通して、それぞれ異なる陰謀や敵と向き合います。
たとえばオフィーリアが敵対するマティアスは世界に破滅をもたらそうとしていますし、サイラスが敵対するルシアも同様の危険性をはらんでいます。ハンイットが追う赤目も放置すれば被害は大きくなる一方でしょうし、テリオンと敵対するダリウスも危険性の芽を摘むという観点では分からなくもありません。
その一方で、トレサ、プリムロゼ、アーフェンの旅は極めて個人的で、スケールも小さいです。敢えて言うとプリムロゼは、シメオンが黒曜会の幹部なので、結果的に大事ではありますが、あくまで結果に過ぎません。オルベリクは街をひとつ救っているので、けして個人レベルではありませんが、かと言って世界レベルでもありません。
そして、フィニスの門の先で、8人が討つことになるガルデラは、明らかに世界の脅威です。放置すれば世界が滅びると言っても過言ではないでしょう。
考えてみれば、今までにわたしが好んで遊んできたRPGは、いずれも個人的なきっかけで冒険を始めていましたが、最後にはこの世界を滅ぼそうとしている魔王と対決するなど、世界レベルのスケールにふくらむことが多かったです。
本作の場合、フィニスの門まで辿り着かないと、話のスケールが小さいままというのが不満となって燻っていたのかもしれません。
対ガルデラ戦はRPG史に残る名戦闘
上述の通り、ストーリーに関しては不完全燃焼ですが、バトルに関しては、より評価が上がりました。
今回、ガルデラを倒した時点での総プレイ時間は64時間ですが、このうちのラスト1時間は、ひたすら編成を考えつづけていました。
いかに、効率的、かつ確実にガルデラを倒しきるために、そのための最適な編成を検討するために、吟味に吟味を重ねたのです。
ブーストとブレイクという基本システムの上に、ガルデラ戦のために特別に用意されたギミックの数々、そして8人を4人4人の2パーティに分けることから、最適な編成をどうすればいいのか。
約1時間、ジョブを変えたり、スキルを変えたり、装備を変えたり、考えに考え抜きました。そして、これなら絶対に勝てると信じてバトルを始めたにも関わらず、あわや全滅の憂き目に合いそうな瞬間もあり、ほんとうにヒヤヒヤしました。
あの時間は、辛くはありましたが、その一方でRPGでしか体験できない、極上の時間でもありました。
終わりに
今まで、あまり意識しませんでしたが、世の中にはバトルが面白い、バトルに工夫が凝らされたRPGも多く存在します。わたし自身、ストーリーに偏っているので、ストーリーが今ひとつだと、それが評価に直結しており、本作の最終的な評価も良作止まりです。
しかし、バトル派の方にとっては、本作に対し傑作の評価を与える可能性もあるなと考え至りました。この発見ができたことは良かったです。
本作は、未だいくつかのサブストーリーが手つかずで残っていますが、ガルデラも倒しましたし、いったん終わりとする予定です。
そして、なんだかんだ言って、気に入ってなくもないので、現在は第1節終章で止まっていた『OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者』を再開し、第2節終章まで進めました。
期せずして『オクトパストラベラーII』も来年2月発売が発表されましたし、もう少し付き合おうかなと考えています。