雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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東浩紀『動物化するポストモダン』 「第2章 データベース的動物」 4 萌え要素

・物語とマグカップが同列の商品
 オタクにとって存在するのは原作(オリジナル)とその関連商品(コピィ)の区別ではなく、匿名的に作られた設定(深層にあるデータベース)とそれをそれぞれのアーティストが具体化した個々の作品(表層にあるシミュラークル)の区別である。『デ・ジ・キャラット』を例に挙げれば、このキャラはゲーマーズのイメージキャラクタでしかないのに、人気を集めており、その後作られた小説やアニメは、原作の小説化でもアニメ化でもなく、そこにはどんなメッセージが込められているのか問うことすら、意味を持たない。
萌え要素の組み合わせ
デ・ジ・キャラット』にはストーリィ性がないので、その分をキャラクタ性で補っている。でじこの場合、それは「フリルをつけまくったメイド服に白い猫耳帽子、猫手袋、猫ブーツ、そして猫しっぽ。完全無欠の萌え萌えオプションフル装備」であり、ぷちこの場合、それは「トラ縞模様の猫耳帽子をかぶり、セーラー服にちょうちんブルマー。お尻にはトラ猫のしっぽがついているという、ファンにとってはかなり凶悪かつ反則的な萌え萌えコスチューム」である。……萌え萌えとか言われても、マサルさんのモエモエが思い浮かぶばかり、かっ飛ばせホムーラン!
「メイド服」という萌え要素は、80年代後半のアダルトアニメくりぃむレモン・黒猫館』が起源で、その系譜が『不確定世界の探偵紳士 ワールドガイダンス』に掲載されているらしい。
 現在、「キャラクター」とは、作家の個性が創りだす固有のデザインではなく、既存の要素が組み合わされ、作品に合わせて生成された出力結果でしかない。
 新しく生まれた「キャラクター」は、誕生の瞬間に要素に分解され、カテゴライズされ、データベースに登録される。その際、適当な分類ができなかったら、新しいカテゴリが用意されるだけ。
――全体的に「あ、そう」な感じに終始。萌えとか言い出す前に、まずはそれを定義するぐらい、やってみせてくれ。というようなね。