総括――得るところは多かったのではないかと思う。
一番興味深かったのは、第1の疑問点に対する氏なりの回答だ。シミュラークルとデータベースに関する考察は確かに頷かせてもらった。逆に第2の疑問点に対する答えは、今ひとつと言ったあたりか。動物化することについてはなんとなく分かったが、学問の引用やよく分からない例示で、うまく誤魔化されたような気がしないでもない。
いい感じに楽しめたので、氏の作品はこれから少しずつ追おうと思う。そのうちに本書に感じた違和感や疑問点も解消されることだろう。今後は、大塚英志、斎藤環、佐藤心、村上隆、西島大介などの名前に、気に留めておこう。