雲上四季〜謎ときどきボドゲ〜

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ボードゲーマー人気1位は伊達じゃない『グルームヘイヴン』の感想(ネタバレなし)

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 ボードゲーマーであれば知らないひとはいないであろう怪作『グルームヘイヴン』をついに買ってしまいました……!
 今のところ、プレイしたシナリオは7つ、プレイ時間は20時間ほどですが、感想の第1弾を書かせてください。

そもそも『グルームヘイヴン』とは

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 Isaac Childres(アイザック・チルドレス)氏によるファンタジーRPGボードゲームです。
 BGG(BoardGameGeek)という海外のボードゲームサイトにおいて、長らくランキング1位に君臨し続けており、世界のボードゲーマーを魅了しています
 プレイヤーは傭兵となり、グルームヘイヴン(逢魔ヶ港)の世界に生き、様々なクエストを受注し、ミッションをこなすことになります。
 両手で抱えないと持てない約9キロという重量に加えて、数多くのボード、トークン、コマ、そしてフィギュア。さらには定価33,000円という価格。そして、1プレイ2時間ほどのシナリオが100以上あるため、総プレイ時間は200時間とも言われる物量……!
 あらゆる点において規格外です
 そんな『グルームヘイヴン』を買い、そして遊び始めてしまいました……。

グルームヘイヴン 完全日本語版

グルームヘイヴン 完全日本語版

  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: おもちゃ&ホビー

現時点での評価

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 声を大にして主張したいのですが、このゲーム、死ぬほど面白いです
 正直、ここまで面白いとは思っていませんでした。ここから先、ちょっと申し訳なく思うくらい、このゲームのどこが良いか書きまくってしまいますがご容赦ください……。

アメリカンなゲームではない

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 最初に謝っておきたいのですが、このゲームのことをアメリカンな、つまり派手な殴り合いゲームだと思っていました。
 少し前に『ブラッドレイジ』というBGG 30位のゲームを遊びました。



 記事にも書きましたが、土台はプレイヤー同士の殴り合いなのですが、システムの随所に弱者救済や逆転や成長といったヨーロピアンな要素があり、ドイツゲームの血も受け継いでいます。
 しかし、半分は殴り合い、つまりアメリカンであることは変わりないわけで、ピュアなドイツゲームファンの好むところではないでしょう。


 昨今、ボードゲーマーは裾野が広がり、その趣味や嗜好は多様化し、インタラクションを愛するひともいれば、箱庭を愛するひともいます。
 デザイナー的、あるいはマーケティング的な目線で考えると、多くのプレイヤーの要望に応えようとすると、かえって凡庸なゲームになってしまい、いずれかの要素に突き抜ける必要があるように感じています。
 従って『グルームヘイヴン』は『ブラッドレイジ』と同じく、フィギュア好きなアメリカンの評価を一身に受け、BGG 1位に登り詰めたのではないか。そう考えていました
 完全なる誤りでした

メカニクスで見るグルームヘイヴン

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『グルームヘイヴン』には、大きく2つのシーンがあります、ひとつは街、もうひとつはダンジョンです。
 街において、プレイヤーはキャラメイキングをして、経験値に応じてレベルを上げ、買い物をして装備を整え、デッキを構築します。その後、その時点で挑戦可能なシナリオの中からひとつを選び、ダンジョンに挑みます
 この構造は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のようなTRPGと完全に一緒です
 デジタルゲームでたとえると古くは『ウィザードリィ』、今風なら『世界樹の迷宮』でしょうか。
 この点において『グルームヘイヴン』はGMレスなTRPGと言えるでしょう。


 まだ、7シナリオしか遊んでいませんが、ほぼ全てが敵の全滅もしくは、ボスの撃破が目的となっていました。
 従って、悪く言えば、戦闘ばかりのTRPGとなります。
 しかし、20時間も遊んで、今現在、まったく飽きていないどころか、早く時間を確保して、次のシナリオに繰り出したいと思っているくらいシナリオは魅力的で中毒性があります。
 と言うのも、体感的には、やっていることがキャンペーン型の協力型デッキ構築ゲームだからです
 キャンペーン型、協力型、デッキ構築、とは?

どうしてシナリオが楽しいのか

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 大前提として、ゲームバランスが絶妙です。
 7シナリオの内、楽に、余裕をもってクリアできたシナリオは、今のところひとつくらいです。
 残りの6つは、大なり小なり苦戦を強いられており、特に2つは、シナリオ失敗を覚悟し、失敗時のルールを確認しつつ、運を天に任せたところ、なんとか切り抜けることができ、ギリギリで勝利できたほどです。
 協力ゲームの大原則である、簡単すぎない、気を抜けば負ける、ギリギリの瀬戸際で勝利できる、というゲームバランスが成立しているのです


 しかも、シナリオごとに現れる敵も異なれば、ダンジョンの形状も異なります。
 場合によっては特殊なガジェットや追加ルールもあったりします。
 多くの協力ゲームは、何度かプレイしていくうちに最適解が見えてきて、容易にクリアできるようになるのですが、このゲームの場合、シナリオを経ることで、デッキの特性やキャラクターの動かし方が見えてくるのですが、シナリオごとに環境も変わるので、毎回、全力で考える必要があるのです


 そして、デッキ構築
 キャラクターごとに持っているデッキのカードは、どれも強く、どれも弱いです。
 プレイヤー人数によって、一緒にパーティを組むキャラクターによって、そして挑戦するシナリオによって最適解は異なっていきます。
 デッキのカードは、キャラクターが取れるアクションであると同時に、その生命線でもあります。ラウンドが進んでいくと、少しずつ圧縮が進んでしまい、デッキの残りカード枚数が1枚になるとシナリオから脱落してしまいます(余談ですが、脱落のデメリットがないのも最高です。パーティ全体で同じ方向を見て、裏切ったり妥協したりすることなく、最後の最後まで協力しあえます)。
 どのタイミングで、どのカードを圧縮し、どのカードをキーとして、このシナリオを成功させるかを考える必要があるので、ゲーム開始前だけでなく、ゲーム中も展開に応じてデッキをコントロールする必要があり、これが、とにかく痺れる、中毒性の高い面白さに繋がっています
 またまた他のボードゲームを取り上げて恐縮ですが、クニツィアの『ブルームーン』やBakaFireさんの『桜降る代に決闘を』が好きな方は、ハマること間違いなしの構築っぷりです。

シナリオを終えての成長も面白い

 シナリオをクリアすることで、キャラクターは経験値を得られます。
 経験値が一定に溜まるとレベルが上がるのですが、これによってデッキに新たなカードを加えられますし、様々な特典を受けられます。
 これが、また面白いのです。
 パーティの特性や、一緒に遊んでいる他プレイヤーのキャラクターの動向を見つつ構築する必要があるのです。言わば、目線が2つ求められるわけですね。自分のデッキを純粋に強くする目線と、パーティ全体で考えて必要なスキルをデッキを入れていく目線


 秋山は未経験ですが、キャラクターに課せられた役割と終えたとき、キャラクターは引退し、新たなキャラクターが解放され、選択できるようになるそうです。
 秋山は、ぺこらさんと2人プレイで進めているので、基本6キャラクターの内2キャラクターを使っていますが、どちらかが引退すれば基本4キャラクターに加えて、新しいキャラクターが解放される可能性があるわけです。
 選択できるキャラクターの種類が増えれば、戦略の幅も広がるわけで、今からその面白さがどこまで拡張されていくのかが楽しみでなりません。

大きな物語と小さな物語

 早く次のシナリオを遊びたいと思う原動力に、ゲーム全体の世界観や物語が気になるという点があるでしょう
 このゲームは、しばしばプレイヤーに選択肢を与えてくるのですが、これがけっこう両極端と言うか、選択ひとつで逢魔ヶ港市街の命運を左右するようなものなのです


 相変わらず他のゲームを持ってきて恐縮ですが、『タクティクスオウガ』というRPGの第1章は「僕にその手を汚せというのか」というタイトルです。
 これは、第1章の終盤、プレイヤーに突きつけられる究極の選択に由来しているのですが、この選択肢によって、第2章は秩序のロウルートと混沌のカオスルートに分かたれます。そして第2章以降、同じキャラクターでも、ルートによって仲間になったり、はたまた敵になったりします。
『グルームヘイヴン』を遊んでいて、ある選択肢を突きつけられたとき、秋山の脳裏には『タクティクスオウガ』を遊んだときの記憶がまざまざとよみがえりました。
 この選択ひとつで、世界が、その有り様を変えるぞ……そう思いました



 まだ、7シナリオしか遊んでいないにも関わらず、既にいくつかの選択を突きつけられています。そして、ひとつを選び取ったが故に、挑戦する資格を失ったシナリオがあります。
 そう、全部で100シナリオ以上ある『グルームヘイヴン』ですが、どうやら1回のキャンペーンで、すべてのシナリオを遊ぶことは不可能な様子です。
 性分としては、全シナリオを余すところなく網羅したい気持ちではありますが、たった7シナリオ遊んだだけで20時間なのです。ここは、新鮮な気持ちでこのゲームを遊ぶことができるのは、最初の1回だけ、1度限りの人生を謳歌するように、採らなかった選択肢や、その先の未来のことは忘れ、自分が選び取ったルートだけを大事にしようと覚悟を決めました
 後どれくらいの時間が掛かるか分かりませんが、ひとつの結末に辿り着いてから考えれば良いのです、もう1周するかどうか。

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終わりに

 まだまだ魅力に溢れているのですが、ここでいったん筆を置くことにします。
 繰り返しになりますが『グルームヘイヴン』は傑作、そして秋山にうってつけのゲームでした。このゲームに出会えたことを感謝し、付き合ってくれるぺこらさんに感謝し、そしてどんなに時間が掛かろうともエンディングまで駆け抜けようと思います。
 また、そこそこに進めたら記事を書くことにします。