青鬼才さんのマーダーミステリー『闇に滴る』を遊びました。
ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。
ゲームの概要
マーダーミステリー制作サークルの青鬼才が、BOOTHで無料公開しているマーダーミステリー作品です。
smoker's panicシリーズの第3弾とされ、プレイ人数は4人、GM不要、密談なしの作品です。
ゲームの感想
激烈に面白かったです。
青鬼才さんの最初の作品『Smoker's Panic』はプレイ済みで、3人用マーダーミステリーのなかでは五本の指に入る面白さと思っています。
シリーズ第2弾の『オカルト研には手を出すな!』は、タイトルから『映像研には手を出すな!』の二次創作なのかなと考えてしまい、シリーズ物であることに気づかず、先に『闇に滴る』を遊んでしまいました。
しかし、作品はそれぞれ単体で成立しており、シリーズ順に遊ばないとネタバレがあるわけではないように感じています。
『Smoker's Panic』が面白かったことから、今回の『闇に滴る』は期待値が高めだったのですが……いやはや、悠々と越えられました。
4人用マーダーミステリーのなかでは五本の指に入る傑作ではないでしょうか。
ストーリーは公開されていないので、明言は避けますが、いわゆる殺人の起こらない、日常の謎を取り扱ったマーダーミステリーです。
日常の謎のなかでも、かなり下らない……と言うと語弊があるかもしれませんが、たいしたことのない事件です。しかし、これがミステリ的にたいしたことがないかと問われると、ぜんぜんそうではなくて、むしろテイストは本格のそれでした。
ミステリ小説で喩えるならば、青崎有吾のデビュー作にして鮎川哲也賞受賞作『体育館の殺人』でしょうか。
『体育館の殺人』は現代日本にある某高校の体育館という、これ以上はないくらい日常的な空間で発生した殺人事件を取り扱ったものですが、内容的には極めて硬派な密室物なのです。版元の東京創元社は、青崎有吾を「平成のエラリー・クイーン」として売り出しましたが、そう表現されるのも納得の硬派さです。
閑話休題、本作『闇に滴る』も、表面的には、なんということはない日常的な些細な事件です。
しかし、極めて精緻に作り込まれており。本格ミステリとして扱えるレベルに仕上げられています。繰り返しますが4人用マーダーミステリーのなかでは五本の指に入りますし、今年に遊んだマーダーミステリーのなかでもベスト10に入る完成度の高さでした。
こちらは投げ銭用のおまけコンテンツ。
感謝を込めつつ、全部、購入しました。
終わりに
2019年は日本で遊べるマーダーミステリーには限りがあり、ほぼ全てを遊ぶことができましたが、今年は凄まじい量の作品がリリースされ、とても網羅できませんでした。寝ても覚めてもマーダーミステリーが遊びたいと思っていた頃と比べると、ほんとうに夢のような環境になりました。特に、このレベルの作品が無料で公開され、ネットを通じて遠くに住む友人とも遊べるというのはすごいことです。
年内に遊ぶ予定だったマーダーミステリーは、本作が最後となります。2020年の最後を飾るのに相応しい素晴らしい作品を遊ぶことができて良かったです。来年も楽しみですね。