雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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2020年に『トランプ勉強会』で学んだトランプゲーム(後編)

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 皆さん、こんにちは。トランプ大好き秋山です。
 前編に引き続き、この後編では『トランプ勉強会』で9月から12月に掛けて触れたトランプゲームを紹介させていただきます。

前編未読の方へ

 よろしければ、前編からお読みください。

第13回(9月)に学んだゲーム

ババリアンバッテン

 16世紀、あるいは17世紀の南ドイツのトリックテイキングゲーム。
 4人用ゲームですが、この月は3人しか参加者がいなかったため、3人用ルールで遊びました。4人戦では2対2のチーム戦になりますが、3人だと1対2なので、偏りが大きいです。
 いずれ機会を見て、4人で遊んでみたいですね。

タロンシュナプセン

『シックスティシックス』、『シュナプセン』、『バウアンシュナプセン』の流れを汲んだ『タロンシュナプセン』。
『バウアンシュナプセン』と比較すると、やや大味なプレイ感でした。タイトルに「タロン」とある通り、山札(タロン)と手札が交換できるのが『シュナプセン』系列における差別化ポイントで、このゲームを面白くしています

ブリスコラ

 17世紀かそれ以前の詳細不明のトリックテイキングゲーム。
 運要素が大きく、大味なプレイ感に時代を感じます。その一方で、1回のプレイミスが後々に大きく響いてくるアンバランスさにかえって魅力を覚えます。

第14回(10月)に学んだゲーム

ランターゴーラウンド

 カードゲーム『クク』の元と思しきトランプゲーム
『クク』と比べると特殊効果を持つカードはキングだけで、その効果も「交換を断る」だけなので、ゲーム性は大きく減っている。
『クク』は好きなゲームではあるが、やや特殊効果が多いので初心者には勧めにくいと思っているのですが、ここまでシンプライズしてしまうとかえって遊ぶ必要性を疑います。

ブランデルン

 18世紀のゲームで、音楽家モーツァルトも好んで遊んだという逸話が残っています
 切り札指定スートだけ強さが変動したり、ビッドに対してホールドできたり等、トリッキーな要素もありますが、全体的に直感的で分かりやすく、18世紀のゲームにしては分かりやすい部類と言えます。

チロリアンバッテン

『バッテン』系列のゲームで、17世紀のスイスの2対2のチーム戦型のトリックテイキングゲーム。
 そのままでも遊べますが、シグナル(通し、もしくはサイン)が用意されており、自分の手札を首尾よくチーム相手に伝えることができれば、ゲームを支配することができます。シグナルのあるゲームは、この頃のチーム戦トリックテイキングゲームには多々あり、その変遷も含めて研究の余地があります
 マスク着用が推奨される現代世界においては、やや問題があるかもしれませんが、可能な限りマスクなしで遊びたいゲムです。

トランテカラント

 17世紀フランスのギャンブルゲーム。
 一方に賭けて、当たれば2倍、外れたら没収と極めてシンプルなもの。厳密には計算していないので、どの程度かは分からないが親が有利となる要素となっており、遊べば遊ぶほど胴元にチップを吸い取られる仕組みになっているあたりギャンブルゲームらしいと言える。

第15回(11月)に学んだゲーム

スプーンアイ

 17世紀後半に、カリブ海を航海する海賊によって考案された2人用のトランプゲーム
 とのことだが、いささか怪しい。果たして海賊が2人で向かい合って、こんな特殊効果のある駆け引きのゲームを遊ぶのだろうか。勝手なイメージかもしれませんが、揺れる船上、飛び交うチップと罵声、溢れる酒、舞い踊るカード、繰り出されるイカサマ、海賊考案のトランプゲームならば、やはりギャンブルゲームであろう。

ペニーチ

 1676年に出版されたCharles Cotton氏の"Compleat Gamester"第2版に記述された2人用トリックテイキングゲーム。
 日本語訳を読んで遊ぼうとしましたが、手札の補充に関するルール記述がなく不完全でした。そこで検索を駆使し、英語ルールを発見しましたが、なんと英語ルールにも記述がないことが分かり、日本語ルールは訳としては正しいものの、ゲームとしては遊べませんでした。
 止むなく、補充のタイミングを模索しつつ遊んでみましたが、どのパターンが正しいかは分かりませんでした。
 正しいルールをご存じの方、ご一報ください。

スカルティノ

 17世紀初頭にイタリアのナポレで生まれたトリックテイキングゲーム。クインティナと呼ばれることもあります。
 3枚の手札で対決するメイフォローで、手札がなくなる度に3枚ずつ補充します。運要素が大きく、手札を見た瞬間に3連勝できることが分かることもあり、大味なゲームでした。

ブリントバッテン

 18世紀のスイスに生まれたペア戦のトリックテイキングゲーム。
 先月まで『バッテン』系のゲームを遊び続けていたのは、このゲームを遊ぶためだったのかと雷に打たれたかのような衝撃を受けました
 言うなれば切り札隠匿系推理トリックテイキングゲームです。4人中、切り札を知っているのは2人だけとなるため、相方に情報を与える重要性が上がると同時に、切り札を知らない2人は、いかに早いタイミングで切り札を特定するかが要となります。
 もっとも切り札が分かったとしても、手札によっては太刀打ちできないこともあり、このランダム性も含めて楽しいゲームと言えます。日本は人狼ゲームが人気ですし、トランプゲームで言えば『ナポレオン』が根強い人気を誇っている土地でもあるので、この『ブリントバッテン』は好んで遊ぶひとが多いようにも思いますが、判定含めトリックテイキング上級者がいないとゲームにならないのは課題と言えます。
 遊べるメンバーを集める必要があるため、プレイに至るまでの敷居は高めですが、マイベストトリックテイキングベスト10入りは間違いありません

第16回(12月)に学んだゲーム

トリベーロ

 1900年代前半から遊ばれ始めた3人専用のトリックテイキングゲーム。
 ゼロサムゲームで、3人でそれぞれの点数を奪い合います。全12ディール戦となりますが、3ディールごとに切り札の決め方が変わるため、4種類の異なるトリックテイキングゲームを遊んでいるような気分になります。
 このゲームを遊ぶのは2回目か3回目のはずですが、途中で競技終了になることが多く12ディール完走できたことがありません。同様のことが、やはり3人専用で全18ディールの『ミゼルカ』にも言えます。

掛合トランプ

 島根県雲南市掛合町で18世紀から遊ばれているペア戦のトリックテイキングゲームです。タイトルの掛合(かけや)は、「掛け合わせる」から来ているわけではなく、掛合町(かけやちょう)という町名に由来します。尚、4スートのA、K、Q、J、計16枚を集めることから、現地ではシンプルに「絵取り」と呼ばれているそうです
 マストフォローのトリックテイキングを行い、9枚以上の絵札を取る(もしくは8枚の絵札を取り、れんしょを取らない)のが目的という、シンプル極まりないのですが、いざ遊んでみると得点形式含め、実によく出来ており感動しました。
 ペア戦のゲームという観点では『コントラクトブリッジ』が唯一無二のゲームかもしれませんが、個人的には難易度が高く、ランダム性が適度に高いという観点からも、能登町宇出津の『ごいた』やイタリアの代表的なゲームである『スコポーネ』が好きですが、この『掛合トランプ』は、この2作に匹敵すると感じました。つまり、マイベストトリックテイキングベスト10入りです
 実に面白いのですが、私の感覚では、知名度は『ごいた』や『スコポーネ』ほどではありません。2021年はタイミングを見て取り上げ、広めていければと考えています。掛合町で開催されている大会にも、いずれ参加させていただきたいですね。

アイリッシュ・ルー

 第10回で学んだ『ランタルー』と同じく『ルー』系のゲーム。
 ポーカーの『テキサスホールデム』や花札の『八八』と同じように出降りの概念がある、手札3枚のトリックテイキングゲーム。
 手札3枚というのがポイントで、出る人数を見つつ出るか降りるを検討するのが楽しいと言えます。

終わりに

 思いつくままに書いてしまった結果、後編の方が、ずっと長くなってしまいました。
 最後にまとめとして、今年、発見した傑作を紹介させてください
 ずばり『掛合トランプ』と『ブリントバッテン』です。日常的にトランプゲームを遊ぶ習慣のある方は少ないと思いますが、歴史の中には信じられないくらい面白いトランプゲームがありますので、是非、探してみてください。そして見つけたら私に教えてください。