雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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ふたりで会話を交わしながら推理する『ベレズフォード邸のネズミ』の感想


 新澤大樹さんと田中佳祐さんによるMurder Dualブランドの第3弾『ベレズフォード邸のネズミ』を遊びました。
 ネタバレには配慮していますが、気になる方は回れ右推奨です。

ゲームの概要

 ジャンル名はオートマチックミステリーとのことです。
 ベレズフォード邸で起きた奇妙な事件を解決するために、プレイヤーふたりで話し合いながら推理するコミュニケーションゲームです。
 GMレスで遊ぶことができます。

ゲームの感想

 推理をしなくてもコミュニケーションをするだけで、自動的にストーリーが進むのが特徴です
 プレイヤーごとにキーワードが渡されており、相手プレイヤーが、そのキーワードを口走ったときに物語が進むという仕組みです。
 ミステリ小説でよくある、

助手「──、────。────……」
探偵「え! 君、いまなんて言ったんだい?」
助手「いきなり大声を出さないでくださいよ。今ですか? お昼にカレーを食べたって言いました」
探偵「違う、その前だよ」
助手「テーブルに福神漬けがあって、乗せ放題って言いました」
探偵「乗せ放題……そうか、そういうことだったのか……」

 というような、助手のなんてことはない日常会話から、探偵が閃く、みたいな体験を実際に得ることができます。


 メカニクスとしては、プレイヤーごとにトリガーとなるキーワードカードを持っていて、相手プレイヤーが、そのカードに書かれたキーワードを発声したときに本の当該ページを読み上げることができるという仕組みです
 これ自体は、今までのMurder Dual作品である『虚飾で彩られたカラス』や『審判にかけられたゾウ』でも見受けられましたし、木皿儀隼一さんの2人用マーダーミステリー作品でも採用されているギミックです。
 今回は、この部分を中心に据えて、オートマチックミステリーという形に仕立て上げた、となります。


 感想としては、ちょっと薄かったかな、という印象です。
 手元にある情報から推理を進めて、条件が整ったら物語が進むのではなく、ノーヒントの状態で会話をはじめて、運良くキーワードが発声されたら物語が進み、推理に必要な情報が手に入るという仕組みなので、ゲームの中心であるコミュニケーションが、ちょっと散漫としてしまったかなと感じました。
 攻略という観点においても、しぜんに会話を交わしているうちに進むことが少なく、手当たり次第にキーワードっぽい言葉を乱発した方が進みうるので、体験感も損なってしまいますし……。
 物語自体はミステリアスで面白かっただけに、ゲーム性と融合していなかったのが残念でしたね。

終わりに

 Murder Dualの過去2作は、どこかメルヘンな雰囲気が漂うファンタジカルな作品でしたが、今回は、打って変わって現実路線でした。
 こういう雰囲気も悪くないですね。