雲上ブログ〜謎ときどきボドゲ〜

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大塚英志『物語の体操』カードを使ってプロットを作る

 折角、作ったので早速やってみた。
主人公の過去現在未来――治療(逆)・幸運(逆)・庇護(逆)
援助者――解放(逆)
敵対者――節度(逆)
結末――調和(逆)

 初っ端から6枚全部逆位置。シャッフルに失敗したかなと、残りのカードを見たが他のはいい具合にはバラけている。なんか不運だなあと思いつつ、主人公の現在は幸運の逆位置。うわあ、暗示的だ。
 まあ、幸運だろうと不運だろうと、結果として提示されたのだから、それはそれとしてそれがなんであろうと使うのみ。

『仮面の裏側』
 その組織は、秘密を保持するのに記憶を編纂する手術――意識の封殺を行ってきた。あるとき、組織の底辺を構成している主人公は、知ってはいけない事を知ってしまい、封殺が行われた(逆治療)。しかし、主人公は深層心理に幾つかの人格を持っており、意識の封殺は成功せず、代わりに主人格になろうと画策する副人格が覚醒した(逆幸運)。この非常事態に対し、組織は主人公の命を奪うことを決意する(逆節度)。しかし、意識の封殺を担当する闇医者は、主人公の副人格に興味を持ち、主人格の方を眠らせるために表向き協力する(逆解放)。組織にも闇医者にも、そしてもうひとりの自分さえ敵に回した主人公は、誰にも心を許さず逃げまわる(逆庇護)。逃避行の末、結局は組織に掴まってしまうが、その瞬間、副人格が表に出て主人公の窮地を救う。そして遅れてやってきた闇医者は、二度と主人格だった主人公が表に出てこないよう、封殺を行ってしまう。意識の深層に追いやられた主人公は、そこに無数の人格があることに気付き、今、表に出ているかつての副人格でさえ、深層に眠る自分を含めた無数の人格と同じであることに気付き、いつしか自分がかつては主人格であったことさえ忘れてしまう(逆調和)。512文字。

 これは案外に難しい。雰囲気としては、ハンドルに片手をガムテープで止めてしまったような感じ。結局、ガムテープは引き千切って、援助者のはずの闇医者も限りなく悪役に近い位置に置いてしまったが、これは良くないな。試合に勝ったつもりで、筋トレをサボってしまっている。もっとずっと、カードの枷に戒められないと、物語の体操にならなそうだ。
 逆位置というのもくせものだ。治療→記憶操作、幸運→不運、庇護→村八分、解放→封印、節度→節操無し、調和→混沌、という風に頭の中で言葉を置き換えたが……自分の語彙の少なさを痛感。
 しかしこの体操は案外、役に立つかもなー。